フリーになり1年、妻からは「丸くなったね」と
── 関東へ移住して1年あまり経ちました。今はお笑い1本ではなく、副業をしながら活動しているそうですね。
どくさいさん:知り合いの会社が契約社員を募集していて、そこに拾ってもらいました。今は週1回ほど勤務しています。メインの収入はまだお笑いだけでは全然という感じです。でも、正社員としてフルタイムで働いていたころよりも好きなことをやっているぶんストレスがなくなりました。今のようないろんな人とかかわる仕事のほうが、気楽にやれていますね。
── 正社員時代の経験は役に立っていると思いますか?
どくさいさん:そうですね。自分で言うのもなんですが、芸人のなかで僕ほどメールがていねいな人はいないと思います。請求書を作るのも早いですし。あと、よく「礼儀正しいですね」って言われるのですが、会社員だとこれくらいは普通だしなって思っています。excelも使っていたので、その経験が今働いている会社でも役に立っています。
── フリーランスになった様子を見て、奥さんはなんと?
どくさいさん:妻は私が会社員だった時代のことも知っているので、「今のほうが楽しそうだね」とか「丸くなったね」と言っています。音楽は変わらずゴリゴリのハードコアが好きなのですが。人当たりはだいぶ丸くなったようです。
── 今後の目標は、やはり芸人1本でやっていくことですか?
どくさいさん:最近は会社員と芸人の活動を両立する人も増えてきましたが、私自身も今は芸人1本でやっていくのは難しいと言わざるを得ません。でも、やっぱりお笑いだけで食べていけるようになりたいですね。ライブのお客さんが増えるとかYouTubeの動画がバズるとか、どんな方法でもいいので。それが今、いちばん大きな目標です。そのためにも、年1回の単独ライブは続けたいです。あと『R-1グランプリ』のエントリーがだいたい11月から始まって、翌年の3月が決勝なんです。その期間は『R-1』の準備に集中して頑張りたいと思います。
…
アマチュア芸人から「コントができるフリーランス」に転向すると同時に、住み慣れた大阪から東京に拠点まで移したどくさいスイッチ企画さん。その決断をあと押ししたのは、当時、結婚してまもなかった奥さんでした。今では「お笑いのブレイン」も担いながら、公私にわたり夫を支えています。
取材・文/池守りぜね 写真提供/どくさいスイッチ企画