慶應義塾高等学校の野球部監督を務めた父を持つ、お笑い芸人の上田航平さん。息子を野球選手にすることが夢だった父のスパルタ教育のもと、小学生時代は野球漬けの日々を送っていました。しかし本人はまったく野球を好きになれなかったそうで…。（全2回中の1回）
野球好きの父の影響で野球嫌いになった
── かつて慶應義塾高等学校の野球部の監督を務めていたお父さんは、かなりの野球好きで、上田さんにも野球を熱心に教えていたそうですね。
上田さん：父は本当に野球一筋の人間で、まさにアニメ『巨人の星』の星飛雄馬の父・一徹のような人でした。息子を野球選手にすることが夢で、そのためには努力を惜しまない人。もちろん、長男である僕は小学1年生のころからすでに、スパルタ的な厳しい環境で野球をさせられていました。
── スパルタ的とはいったいどのレベルですか？
上田さん：玄関に「素振り100回、腕立て100回、腹筋100回」と書かれた紙が貼ってあり、それをこなさないと家にいれてもらえないんです。で、僕としてはサボりたいのですが、やっていないのに玄関から入ると怒られるので、2階にある自分の部屋の窓や裏口から直接、家に入るわけです。でも、結局見つかってはよく怒られていました。
徳島に家族旅行に行くと言われて連れられた先で、父の知り合いの野球選手が開催している自主練習に参加したこともありました。僕は純粋に旅行だと信じて楽しみに行くのですが、途中から知らない大人たちが加わってきて食事をすることになり、なんだか様子がおかしいなと。すると、みんなが「明日からの練習頑張ろう」とか言っているんですよ。それで純粋な家族旅行ではなく、野球の練習や体力トレーニングに勝手に参加させられることに気づき、「絶対にイヤだ！」とテーブルの下などで丸くなって泣いていたことを覚えています。
── 上田さん自身は野球がお好きではなかった？
上田さん：それが全然、好きではなくて。僕は野球をやりたくないので、いつも父から逃げ回っていました。無理にやらせようとさせられた反動から、むしろ嫌いになってしまったくらいです。テレビの野球の試合などもほとんど見たことがありません。できる限り野球の情報をシャットアウトしていましたね。今でも野球のポジションやルールは、きちんとわかっていないです。練習はイヤイヤ取り組んでいたので、当然、ちっともうまくなりませんでした。
