父の献身的な支えのおかげで
── リバウンドによって、体重はどう変化しましたか?
琴奈さん:過食はしていましたが、ジム通いも続けていたので48キロだった体重が52キロになったくらい。体重は増えても、過食しているわりにはまだコントロールできていたと思います。ただ、せっかくアイドルになれたのに、いかに48キロをキープするかということばかり考えてしまって、何のためにやせたいのかわからなくなってしまったんです。
そんなとき、たまたま1年ぶりに父に会う機会があったんです。父と前回会ったのはダイエットを始める前、体重が88キロだったころです。過食したとは言え52キロなので、88キロから52キロになった私を見て、かなりびっくりしていました。父に私の状況を話すとすごく気にしてくれて、顔色も悪いし、一度気持ちを立て直すためにふたりで一緒に生活しないか、と提案してくれました。
そのころにはアイドル活動の熱も冷めはじめていて、ステージに立っても心から楽しめない自分がいました。自分の夢ってなんだろう。自分を一度見直そうと思って、アイドルも辞めて、父の提案に乗ることにしたんです。ひとり暮らしから父と一緒にふたりで暮らすことになりましたが、いつも父が寄り添ってくれました。
しかし、父と暮らしてからも過食はすぐに治らず、摂食障害の診断を受けたこともありました。そんな私に父は、テレビで摂食障害の番組があると知れば「一緒に観よう」と声をかけてくれたり、私に合いそうな病院を探してくれたりして。父の親身な支えのおかげで、次第に自分に自信が持てるようになっていきました。現在、食欲をコントロールできるようになったのは、そうした周囲の支えが大きかったように思います。自分で自分を認めてあげて、自分にもっと自信があればそこまで体重に固執することはなかったかもしれません。しかし、当時の私はそこまで冷静に考えられなかったため、今思えば、もう少し広い視野でものごとを捉えてもよかったかなと思いました。
…
父のサポートにより摂食障害は落ちついていったという琴奈さん。自分に自信が取り戻せた要因は、私生活だけではなく、仕事の面の影響もありました。当時アルバイトをしていた食品会社で正社員採用されたことで、規則正しい生活習慣が身につき、営業成績も残せるようになったそうです。次第に物事を前向きにとらえられるようになったことも、琴奈さんにとっては大きかったといいます。そんな琴奈さんは現在、プラスマイナスモデルとしても活動しながら、自身の経験を発信しています。
取材・文/松永怜 写真提供/琴奈