「大人が安心して子どもを連れて来られる芸人に」

── プライベートでは、小学5年生と3年生の息子さんのお父さんですが、育児をするうえで心がけていることはありますか?

 

石山さん:あんまり常識にとらわれすぎないように、全部をルールとして決めすぎないように、幅を持って子育てをしようと心がけています。

 

以前、長男が疲れていて学校を休みたいんだろうなというときがあって、奥さんに「小学校まで送ってあげて」と言われたことがあったんです。たった1回だけなんですけど、僕はその日は学校には行かず、そのままファストフード店に連れて行ったんですよ。

 

あれだけ家で登校するように言われていたので本人はびっくりしてたんですけど、「好きなもの食べろ」と言ってポテトとハンバーガーを注文して。「男同士やし、こういうこともあっていいんや。休むときは休んでいい。これからやりたくないこと、めんどくさいことがもっと出てくるけど、そうなってくるとご飯作ることも食べることもめんどくさい。でも、めんどくさいことが嫌やから頑張ってお金を稼ぐんや。だから『めんどくさい』ということはもう口に出さんでいい。もうひとつだけ言うと、学校行かんとファストフード店行くこと自体は絶対にダメなこと。学校は行かなあかん。ただ、こういうこともあるということは覚えといたほうがいい」という話をしました。

 

僕自身も、大ケガで入院したあと高校へ通うことが嫌になってしまったときに、親が同じようなことをしてくれて、だんだん学校に行けるようになった経験があって。学校に行くことは大事やけど、「休みたい!」「行け!」だけではなく、幅みたいなものはあったほうがいいかなと思っています。

 

次男がダンススクールにどうしても行きたくないと言ったときも、Uターンして銭湯に連れていったことがありました。「休みたいくせに3割ぐらいの力で無理してやるなら、1回お風呂に入ってゼロにして、そこからまた100パーセントで頑張れ」と伝えましたね。

 

── 素敵なお父さんですね。

 

石山さん:いやいや、もしかしたら学校で「お前の親、ダンソンだろ」とか言われている可能性もありますけどね(笑)。でも、バンビーノが『おはスタ』に出演した日の学校では、お友達から「パパ出てたね」と言われているみたいです。

 

小5の長男はクラブチームでサッカーをしてるんですけど、ほかの保護者の方からいただいた動画を見て、いいシュートがあれば「ナイスシュート!」と言うぐらいで、なるべく余計なプレッシャーをかけないように気をつけています。長男は先日、イタリア遠征にも行きました。年齢が大きくなっていくと、学校生活が忙しくなって海外に何日間か行くという体験自体が難しくなると思うんです。僕自身も大学在学中にブラジル留学をしていなかったら海外で生活する機会なんてなかったと思うので、経済的に行かせてあげられるあいだは、チャレンジさせてあげたいなと思っています。

 

── 最後に、今後のビジョンを聞かせてください。

 

石山さん:今は、中学生や高校生だったときに「ダンソン」をしてくれていた子がお父さんやお母さんになって、その子どもたちがYouTubeを見てくれていたりもするみたいなんです。ありがたいことに、地方へ行ってもいまだに踊ってくれる子がたくさんいたり、子どもが「うわー!」と喜んでくれたりしているので、テレビも頑張りつつ、今やっているファミリー公演を大事にしていきたいと思っています。

 

「この言い方はちょっと険があるか」と思う言葉は排除するようにすること、バッドエンドなコントを作らないこと、誰かを悪く言って笑いをとらないことは相方も僕も意識しているので、大人が安心して子どもを連れて来られる芸人をこれからも目指したいなと思っています。

 

取材・文/長田莉沙 写真提供/石山タオル