大ブレイクも半年間は「ダンソン」のオファーゼロ
── ブレイクしてお仕事も一気に増えましたか?
石山さん:いや、まったくです(笑)。「ダンソン」の次の日ぐらいから大阪にある漫才劇場に在籍することになったので、しばらくはスーツ姿で漫才をしていて。『KOC』決勝から12月まで、「ダンソン」のオファーはまさかのゼロでした。
でも、年末に『ぐるぐるナインティナイン』の「おもしろ荘」という若手芸人向けの企画で、8.6秒バズーカーが「ラッスンゴレライ」のネタで反響を呼んだんです。それで8.6秒バズーカーが営業に呼ばれるようになったんですけど、彼らは当時1年目だったので、いきなり長い時間をふたりだけでやらせるのは難しいからリズム系で一緒に営業できるコンビをつけようという会社の意向で、白羽の矢が立ったのが僕たちでした。
そこからは、ラッスン&ダンソンみたいな感じで全国を回るようになり、『めざましテレビ』に出演させてもらったり、漫才劇場のオープニングアクトをやらせてもらったりと仕事が増えて行きました。露出が増えるなかで「ネタ作りもサボったらあかんな」と思って「スンシー」というネタもやるようになったんです。
── マッサージ師に扮する石山さんが、客に扮する藤田さんのツボを押すと、藤田さんが「スン」「シー」などと声を出して、リズムを奏でていくというネタですよね。
石山さん:自分ではそこまでいいネタだと思ってなかったんですけど、舞台袖で見ていたジャルジャル・福徳さんが「あれ、何分でもできるやん!スンシーっていい響きやなあ」と言ってくれて。そのあと、チョコレートプラネットの長田さんからも「あれ、なんでもっとスンシーって言わへんの?後半もっとスンシーでええんちゃうか」とアドバイスをもらって。
そんなに先輩方が言ってくれるならと作り直して臨んだ『キングオブコント2015』の決勝で、「スンシー」を出したら2位になったんです。ちゃんと演技してちゃんとコントをされている審査員の方がリズムネタを評価するのは難しいだろうなとは思っていたので、準優勝にたどり着けたのは、福徳さんや長田さんのおかげやと思います。
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リズムネタでブレイクを果たしたバンビーノ・石山さんですが、昨年はアクシデントに見舞われました。高円寺の街中で脱水症状を起こして倒れただけでなく、舞台でネタの最中に「フィーザ筋が切れた」ことも。激しい踊りのリズムネタは体を酷使するそうで、石山さんは過去にもアキレス腱断裂の警告を医師から受けたことがあるそうです。それでも、いろいろな人に助けられながら最近はファミリー向けの公演に力を注いでいます。今後の目標は「大人が安心して子どもを連れて来られる芸人」とのことでした。
取材・文/長田莉沙 写真提供/石山タオル