10万人に1人と言われる先天性疾患「2型コラーゲン異常症」のため、身長123cmの星来さん。現在は大学で幼児教育を学びながら、モデルとして活動を続けていますが、そこにはある理由がありました。(全2回中の2回)

「小さい先生は嫌だ!」と教育実習で言われ

星来
岐阜の白川郷に旅行したとき

── 10万人に1人と言われる「2型コラーゲン異常症」の影響で、身長123センチという特徴を持つ星来さん。現在は大学で幼児教育を学びながら、モデル活動やSNSで自身の経験や思いを発信するなど、さまざまな挑戦をされています。幼児教育というと、子どもたちと一緒に体を動かす場面が多く、体力が求められるイメージがあります。この道を選んだきっかけを教えてください。

 

星来さん:保育を学びたいと思ったのは、入院中に抱いた「ある思い」がきっかけです。小学校6年生のときに背骨が大きく曲がる「側弯症」の手術で入院していたのですが、そのとき、病院で出会った「医療保育士」さんの存在が大きかったんです。病棟には、長期間、入院している子どもたちがたくさんいました。病院は治療の場で、入院中の子どもたちにとっては不安や痛みがつきものですが、保育士さんと遊ぶ時間だけは、みんな「普通の子ども」に戻って無邪気に過ごせる。その姿を見て、「いつか自分も病院で働く保育士さんになりたい」と憧れを抱くようになりました。

 

ですが、大学での保育実習で得た気づきによって、新たな思いが芽生えたんです。

 

── 保育実習で、どんな経験があったのでしょう?

 

星来さん:担当クラスの子どもたちには「私は生まれつき病気で体が小さいんだよ」「抱っこはできないけれど、膝の上なら座ってもいいよ」と伝えました。するとすぐに、「じゃあ、小さい先生は秘密基地にも入れるね!」と、小さいことを前向きに受け止めてくれたんです。いっぽうで、私について知らない子たちからは「小さい先生は嫌だ!」「あっち行って!」と言われることもありました。

 

── 子どもは無邪気だからこそ、感じたことをストレートに言葉にしますよね。

 

星来さん:そうなんですよね。もちろん傷つかないわけではありません。でも、昔から街を歩いていると、ジロジロ見られたり、心ない言葉を投げかけられたり。それが日常でした。正直、今でも受け入れられているわけではありませんが、それを誰かにぶつけても何の解決にもなりません。

 

私は、子どもたちの反応の違いは「知っているかどうか」だけだと思っています。悪意ではなく、未知の存在に対する素直な反応ですから。だからこそ、周りの大人や社会が「いろんな人がいるよ」と伝え続けることが大切なんです。日常で多様な存在に触れる機会がたくさんあれば、障がいの有無に関わらず、さまざまな違いを自然と受け止められるようになる。そうして育った子どもたちが大人になったとき、初めて本当の意味での「共生社会」が実現できる気がします。