育児も仕事も課題だらけでもがいている最中

── 3年8か月の産休・育休が明け、今年4月から復職されました。久し振りの職場はいかがですか?
高畑さん:20歳以上若い新人アナウンサーが先輩に見えるほど、よちよち歩きの初心者に戻った気分です。今はナレーションの仕事を中心にしていますが、今後の働き方については会社と相談しながら進めさせてもらえているのでありがたいです。でも、世の中のママたちはみんな、どうやって働いているんだろうと思うくらい、私はまだ育児と仕事の切り替えがうまくできないです。それが今後の課題です。
── お子さんは保育園に通っているのですか?
高畑さん:はい。おかげさまで元気に通っています。でも実は半年ほど前、長女がインフルエンザ脳症にかかって意識を失い、命が危うかったんです。インフルエンザ脳症は5歳以下の子どもが発症することが多く、死亡率は30%、後遺症が残るのは25%とも言われる重い病気で、命は助かっても何らかの障害が残る可能性がありました。意識が戻るまでその判断がつかず生きた心地がしませんでした。さいわい後遺症もなく元気に退院することができましたが、子どもたちが元気に過ごしている日常がいかに幸せなことか痛感しました。
夫と結婚してからの5年間、2度にわたる流産、不妊治療に対する葛藤を乗り越えて受けた先進的な不妊治療、そして乳幼児に関わるさまざまな経験を通して子どもにまつわる医療に目が向く機会が増えたので、今後医療についても当事者意識を持って何か企画、提案していけたらと思います。
── 復帰したいま、仕事に関してどんなことを感じていますか?
高畑さん:自分が置かれている「ミドルエイジ」という立ち位置についてもっと認識しないといけないと感じています。40〜50代は若すぎてもだめ、老けすぎてもだめ。仕事のうえでは自分に自信をつけていかなければいけない。自分の足元をしっかり見て、ミドルエイジであることを強みにしたいと思っています。
── 育児と両立させるため、働き方を変えないといけない部分もありますよね。
高畑さん:そうですね。独身のころは仕事に対してものすごい圧をかけて24時間すべてを捧げて臨んでいたわけなんですが、子どもができるとそういうわけにはいかない。仕事と育児、どちらか一方だけに全力投球するわけにいかないから、自分で力の配分を決めなくてはなりません。その塩梅がつかめないストレスと戦っています。今までの自分のやり方が「直球一本勝負」だったから、多彩な球種に脳内スイッチを切り替えるのがとっても苦手なんですよね。新しい刺激を受けて楽しくはあるのですが、頭がオーバーヒートしている感覚があります。もう少しリラックスして、仕事の時間、育児の時間、自分の時間…いろんな時間を軽やかに行き来できるようになりたいなぁと、もがきながら模索している最中です。
取材・文/富田夏子 写真提供/高畑百合子