病気の発覚が人生の転機になることはたしかにあります。華道家の假屋崎省吾さんは、糖尿病と診断されてから生活を大改革します。そして現在は鎌倉の地に移住。華道家の原点に向き合っています。(全3回中の2回)
糖尿病の改善に6匹の愛犬と散歩で1万歩
── 2003年、40代で2型糖尿病と診断されたことをきっかけに、食生活を根本から見直し、健康意識を高めてきた假屋崎省吾さん。ピーク時には80キロ近くあった体重は20キロ減り、いまも維持されているそうですね。
假屋崎さん:はい。あのころは仕事が忙しすぎて、ストレスから暴飲暴食の日々でした。外食が多く、1日5食が当たり前。健康のことなんて顧みる余裕がありませんでした。でも糖尿病と診断されて、「これはもう自分が変わるしかないな」と一念発起。食事を根本から見直し、健康的な食生活を心がけるようになりました。
外食はなるべく避け、こだわりの食材で自炊が基本に。農薬を極力使っていない国産の野菜、添加物のない調味料など、口にするものは徹底的に気を配るようになりました。調理のしかたもひと工夫し、油を使わない蒸し料理や煮物を中心にして、素材本来の味を楽しむようになりました。腹八分目を心がけることで、体調もずいぶんよくなりましたね。

── 食事管理に加え、健康維持のためには身体を動かすことも大切です。なにか心がけていらっしゃる日々の習慣はありますか?
假屋崎さん:健康を保つには、やはり毎日少しでも体を動かすことが大切だと思っています。2021年に鎌倉に引っ越してからは、庭を散歩するのが日課になりました。敷地は1000坪以上あり、ひと回りするだけでもいい運動になるんです。
いま、わが家には6匹の犬がいます。大型犬はスパニッシュ・マスティフ、レオンベルガー、グレート・ピレニーズの3匹で、小型犬はチワワとフレンチブルドッグ、それに保護犬が1匹。なかでも、いちばん大きな犬は体重が85キロもあるので、一緒に散歩するだけでもかなり体力を使います。この子たちの散歩だけで、自然と1日1万歩から2万歩くらいは歩いていますね。日々の暮らしそのものが、運動になっているんです。
── 先ほど庭を拝見しましたが、まるで森の中にいるようでした。鳥のさえずりが響き渡り、周囲は一面の緑…。時間を忘れてしまいそうです。起伏があるので、歩くだけで自然と足腰が鍛えられますね。
假屋崎さん:引っ越してきた当初は、原っぱのような状態だったんです。それを石組みで整えて遊歩道をつくり、たくさんの木を植えました。前庭にはバラを主役にした洋風ガーデン、せせらぎにつながる庭には和の趣を取り入れた和風庭園と、まったく異なる表情を持たせてあります。四季折々の花が楽しめる森のような庭にしたくて、いまもまだ庭造りを進めている途中なんです。自然に囲まれてゆったりとした時間を過ごせることが何よりの幸せですね。