想像したこともないものにどハマりする。30代まで何の知識も関心もなかった世界に、ひょんなことからドローンレースの世界選手権にまで出場した白石麻衣さん。まだ、ドローンが世の中に浸透していない7年前のことでした。(全2回中の1回)
スマホでの自撮り写真を残念に思って…
── 白石さんは2018年ドローンレース世界選手権の日本代表にも選ばれました。現在もドローンの普及のためイベントを開催されたりドローンで撮影を行ったりして魅力を伝えています。ドローンに興味を持ったきっかけを教えてください。
白石さん:2016年ころ、フリーランスの3Dグラフィックデザイナーだった私は、格安シーズンに旅行を楽しんでいました。ただ、会社勤めをしている友人とは予定が合わず、ひとり旅になりがちで…。自分をその景色と一緒に撮ろうにも、いつもスマホでの自撮りになり、似たような構図になっていたんです。
「自撮りでもっときれいな写真を撮りたい」と思っていたのですが、あるときSNSで、ドローン撮影された美しい映像を見て一瞬で心を奪われました。とくに印象的だったのが、新婚旅行で世界一周した「ハネムーントラベラー」という方の自撮り映像で、本当に雄大な景色をドローンで撮影されていました。以前であればヘリコプターなど大がかりな空撮でないとできない映像で、「ドローンがあったらこんなに素敵な映像が撮れるの!?」と、びっくりしました。「私もドローンを使ってカッコいい自撮りをしたい」と思うようになったんです。
ただ、本格的な空撮ができるドローンってすごく高価でなかなか手が出なくて。私が欲しがっている様子を見て、当時、交際中だった彼(現在の夫)がクリスマスにおもちゃのドローンをプレゼントしてくれました。

白石さん:小さいころ、ゲームを楽しんだときみたいにワクワクしました。手のひらサイズのドローンでも、スマホと連動していてきれいにカメラ撮影ができて感動しました。使っていくうちに自分のなかでスイッチが入り、1、2か月後には本格的なドローン機を約20万円で購入することにしました。高価だったけど「やっぱり本格的なのが欲しいんだね」と彼が言ってくれて、折半してくれたんです。
本格的なドローンは、高価なぶんセンサーなどがたくさんついているから、おもちゃよりもバランス感覚がよくてコントロールもしやすい。おもちゃがすぐにバランスを崩していたのに比べ、100倍くらい操作が簡単でした。撮影された映像も本当にきれい。「こんなに本格的な映像が簡単に撮れるなんて!」と、ますますドローンにのめりこんでいきました。ただ、ドローンを飛ばせる場所は法律で定められていて、人口集中地区や空港周辺、国の重要施設周辺では飛ばせません。私が住んでいた都内は人口集中地区にあたり、ドローンの飛行は許可承認がない場合は原則禁止されています。だから、時間を作っては飛行禁止区域外の神奈川県の海沿いなどに出かけて撮影していました。
あるとき、SNSをチェックしていると、アクロバティックに動くドローンの映像を見かけたんです。宙返りをしていたり、猛スピードで飛んでいたりして、「何これ!私のドローンでは、どんなに練習してもこんな動きはできない!」と、くぎづけになりました。