ふだん何気なくしている排便や排尿。当たり前と思えることも、クローン病を患う人にとっては生活を脅かす深刻な問題です。高橋めいこさん(34歳)は、小学1年生のときから、この病気に悩まされていました。(全3回中の1回)

医者は痔ろうと診断も「座るとお尻が激痛で」

── 高橋さんは7歳のとき、炎症性腸疾患のひとつである難病「クローン病」と診断されたそうです。口から肛門までの消化器官に慢性的な炎症が起こる原因不明の病気で、症状は発熱、だるさ、下痢、腹痛などがあるそうですが、高橋さんがクローン病と診断されたのは、どんな経緯からでしょうか?  

 

高橋さん:小学1年生のとき、ものすごくお尻が痛くなったんです。肛門のあたりが赤くはれていて、ニキビができたみたいにジクジクとした痛みがずっと続きました。まっすぐ座っていられず、学校の授業中は左右どちらかのお尻に体重をかけて斜めに座ったり、自転車もずっと立ちこぎしたりするほど。病院に行ったところ、肛門付近にトンネルのような通路ができてウミがたまる「痔ろう」と言われ、手術をしました。

 

ところが数か月後、またウミがたまってきて…。1〜2年生の間で3回も手術をしました。それでも、4回目に再発したとき「こんなに小さい子が何度も痔ろうの手術をしないといけないなんて、絶対におかしい」と母は感じたようです。別の病院の肛門科で診てもらうと、クローン病と診断されました。

 

母は「(治療法がないと知らされ)この子は一生病気とつき合うことになるなんて…」と、ショックを受けたようでした。でも、ネガティブな様子はまったく見せず、ずっと明るく接してくれました。病名がはっきりしてから、まずは絶食して安静にし、胃腸を休ませることになりました。約1か月の入院中は口から食事をとることができず、鼻から管で栄養を入れていました。

 

高橋めいこ
8人家族のにぎやかな環境のなかで育った

── 退院後、生活に変化はありましたか?

 

高橋さん:退院後は、食生活には気をつけないといけなくなりました。胃腸の刺激にならないよう、油っぽいものや食物繊維の多いものなど、消化に悪いものはなるべく控えることにしたんです。好きなものも多少なら食べていいと言われたのですが、1度に食べる量が少なかったとしても、回数が重なると胃腸の負担になってしまい…。お腹を壊したり、お尻が痛くなったりしてしまいました。すると、また1か月くらい入院して絶食することになるんです。

 

私の体質に合っているのは、お腹の風邪をひいたときに食べるうどんやおかゆみたいなもの。学校の給食でさえ食べ続けると体調を崩していました。そこで給食はキャンセルし、母がお弁当を毎日作ってくれました。いま振り返れば、母は本当に大変だったと思います。しかも、みんなが給食を食べるなか、ひとりだけお弁当なのは寂しいだろうと、母はできるだけ給食と同じようなおかずを作ってくれました。たとえば給食がトンカツの日は、鶏のささみに衣をつけ、胃腸の機能を助ける効果が期待できるというシソ油で焼き 、見た目を似せてくれて。いろいろ工夫してくれてうれしかったですね。