不登校の子に向けてYoutubeでメッセージを
── 沖縄に移住後、不登校の子たちに向けてYoutubeでメッセージの発信をスタートされました。どんなきっかけがあったのでしょうか。
ゆたぼんさん:沖縄に引っ越した後、ニュース番組で、GWや夏休みといった長期休みの直後に自殺をしてしまった不登校の子たちがいることを知りました。なかには、親が学校に無理やり行かせたことがきっかけになったケースもあると知って。「それ、どういうことや!?みんなのためにできることは何かないかな」って思ったんです。それまでYouTubeにはお笑いの動画を公開していたんですけど、そのときに、こういう子たちのために何かYouTubeで発信しようと思いました。
それで、「不登校は不幸じゃない。学校より命が大切や」って伝えて。でも、最初は全然視聴回数が伸びませんでした。当時、僕のYouTubeの登録者数は100人ほどだったので。それで、「どうすれば不登校の子たちにメッセージを伝えることができるんやろう」って考えて「テレビや新聞に出たら言葉を届けられるかも」と思いついたんです。マスコミ関係の会社に何通か自分で手紙を書いて送ったら、琉球新報さんが取材に来てくれて。2019年5月5日の「子どもの日」に掲載されました。僕が小学5年生、10歳のときです。

── 新聞では、ゆたぼんさんの写真つきで大きく取り上げられていましたね。
ゆたぼんさん:そうなんです、ありがたいことに。でも、それで大炎上してしまって。賛否両論でしたけど、新聞に取材記事が出たばかりのころは、Xに「だまって学校に行きなさい」っていうコメントがすごくたくさん届いて。あまりの数に「なんやこれ!?」って本当に驚きました。
でも、応援してくれる人もいたんです。「行きたくなかったら行かなくてもいい」「自分の気持ちを尊重して」ってコメントもたくさん届きました。脳科学者の茂木健一郎先生や、メジャーリーガーのダルビッシュ有選手といった著名な方たちも、「頑張ってください」「応援しています」ってコメントを送ってくださって、すごくうれしかったです。応援してくださる方々のコメントに励まされて、「頑張ろう」と思えました。
── それから7年経ちましたが、注目を集めてきたこれまでを振り返って、ご自身のなかで変化や成長を感じることはありますか?
ゆたぼんさん:自分がやってきたことに後悔はないし、YouTubeでメッセージを発信してきて本当によかったと思っています。これからも、これまで通りやっていきたいです。成長を感じることは、勉強をたくさんするようになったこと。不登校のときも自宅で勉強はしていたんですけど、もともと勉強が好きなので、勉強時間が増えたことで理解できることが増えて、もっと楽しくなりました。

ただ、今振り返ると、小学生のころはどうしても誤解を生んでしまうような話し方になっていたと思います。今だったら、もっと論理的にわかりやすく話せると思うんですけど…あのころはすごく幼かったから。
「ロボット発言」が世の中に広まってしまった当時、小学3年生だった僕は、そのときの状況のせいで「まわりの子たちがロボットみたいに見えた」と言いたかったのですが、真意が伝わらないまま「ロボットだ」という言葉だけがひとり歩きしたような気がしています。いまは「こういうことがあって、ロボットに見えた」と背景も説明できるので。冷静にそう思えることに対しても、成長したんじゃないかなと感じています。
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メディアに取り上げられ、10歳でさまざまな経験をしたゆたぼんさん。中学1、2年のうちは不登校でしたが、中学3年の2学期から再び学校に行き始め、みずからの希望で高校受験を経験しました。志望校に受からず落ち込んだものの、その後高卒認定試験を受けて合格。高2の今は勉強が楽しくて仕方ないそうです。
取材・文/高梨真紀 写真提供/ゆたぼん