強烈な個性を持ったキャラや悪役を演じることが増えていた小沢真珠さん。娘にはその姿は見せられない、と思っていたそう。しかし、娘さんたちの反応は意外なものでした。役者という仕事の面白さを再認識する瞬間でした。(全3回中の2回)

出産も子育て経験も「役者の幅」を広げてくれる

── 俳優としてさまざまなドラマで活躍中の小沢真珠さん。2014年に年下の男性と結婚し、2人のお子さんを出産されています。もともと結婚願望はお持ちでしたか?

 

小沢さん:結婚願望は強くはありませんでした。それより17歳からこの仕事をやってきて、俳優としての経験値という意味で、結婚や出産も人生の必要なステージなのではないか、という気持ちがありました。

 

たとえば、演技をしていて行き詰まったり、悩んだりすると「自分の経験がやっぱりたりないんだ」と感じることがあって。誰かと生活をしたり、子育てをするといった今までの人生にはない経験が必要なのではないだろうかと、ばくぜんと感じ始めていたんです。

 

── 実際に結婚・出産されて変わったこと、俳優業への影響は感じますか?

 

小沢さん:出産や子育ては決してキラキラしたものではなくて、「こんなに大変なんだ」「お母さんありがとう」と、あらためて思いましたね(笑)。でも、日常生活で大変なことがたくさんあっても、どこかで「いや、待って。この経験はきっと仕事の役に立つ。きっと何かの役に活かせる。ここは頑張りどころ」と考えるような、冷静な部分が自分にあって。どんな経験をしても乗り越えていけるようになったし、俳優業をやっていてよかったなって思います。

 

小沢真珠
デビュー当時の貴重な1枚

あと、昔ほどは動じなくなりましたね。『牡丹と薔薇』の香世など、役ではずっと強いキャラを演じてきたけれど、自分自身にはまだまだ弱い部分がありました。でも、出産して母親になり、子どもと過ごすうちに、どこかキモがすわってきた感じがします。母親になると、どんなに時間がなくても、家族のためにしなければいけないことがたくさんありますから。

 

たとえば、いくら仕事が立て込んでいても、子どもたちのお昼ごはんを用意しないわけにはいかないし、子どもの急な体調不良など、想定外のこともたくさん出てきます。だからいまは仕事で何かあっても、前ほどあわてなくなった気がします。そういう意味では、結婚も出産も、やはり自分の俳優人生の中で必要な経験だったのかなって思うんです。