大晦日に「結婚するか実家に帰るか」と妻に迫られ
── 結局、どんなふうにプロポーズされたのですか?
鰻さん:なかなか切り出せずにいたんですけど…。だって、もう30歳すぎててね。芸の仕事は安定した生活とは縁遠くて、いつ仕事がなくなるかわからないっていう不安もあったんだと思います。つき合ってしばらくして同棲して、そのままズルズルきていたんですけど、2014年の大晦日に妻が「結婚するか、実家に帰るか、どっちかに決めてほしい」って期限を切ってきて。その日の夜に「鰻という姓が全国で6人しかいないから、7人目の鰻になってくれませんか?」って伝えました。妻は「はい、よろしくお願いします」って言ってくれましたね。
── 年が明けて2015年の丑の日にご結婚されて、今年でちょうど10年。ご家庭で大切にされていることはありますか?
鰻さん:結婚生活に対して、理想はあってもいいけれど、お互いの理想を追い求めすぎると破綻するような気がしています。お互いの理想がガチッと合えばいいと思うんですけど。そもそも「結婚することが幸せ」と思うこと自体が間違いというか。そうなっちゃうと、結婚生活を続けるのを難しく感じてしまうんじゃないかなって。結婚は、高校や大学の「入学おめでとう」と同じで、スタート地点のひとつだと思うんです。ここから始まる新生活は、ほかの誰でもない、自分たちでつくるものじゃないですか。
大学生活も、人によっては、4年間に対して「おもしろかった」、「おもしろくなかった」って感じ方が分かれますよね。そう考えると、長く続けることを前提とした結婚生活には、理想は大きく持ち込まないほうがいいのかなと僕は思います。そんなわけで、僕自身、結婚に理想は持っていないし、夫婦間のルールがあってもなくても別にいいのかなと思ってて。だから、僕の家庭ってある意味、特殊なんじゃないですかね。