食事は夫婦別々に。「当たり前」は家庭それぞれでいい
── どんなところが特殊だと思われますか?
鰻さん:まず、ご飯は夫婦別々に食べます。よくまわりからは「ありえへん」って言われるんですけど、「お互いがよかったらそれでええんちゃうの?」って思います。小学校低学年の子どもは、妻と一緒に食べていることが多いです。僕は外食もするし、妻が作ったご飯があれば食べるし。弁当を買ってきて家で食べることもあります。この時間に家族で食卓を囲む、という決まりはないです。「普通、こうじゃない?」「それっておかしくない?」っていう感覚がうちにはないですね。夫婦がオッケーと思うなら、それでいいんじゃないかなって思います。
──「食事は家族そろって」とか「家族のルールを決めるのが当たり前」というような考え方は多いと思いますが、「決めない」のもありだと思います。ちなみに、家事はどうされていますか?この分担で揉めるご夫婦も多いようですが…。
鰻さん:キッチンには妻が立っていることが多いから、僕は口を出さないし、あまり触らないようにしています。僕自身、あんまり料理をしないし。妻がしたいようにしている感じです。
その代わり、僕は掃除全般が好きでよくやっています。妻も掃除はできますけど、僕が得意な窓ふきが妻はめっちゃ嫌いですね(笑)。あと、僕はトイレとか水まわりの掃除が好きでよくやっています。トイレは、便座の裏側とかスプレーを吹きかけて拭いたりするのも好きですし。
── 水まわりの掃除をやってくれるとすごく助かると思います。鰻さんの得意なところが奥さんの苦手なところというふうに、バランスが取れているんですね。
鰻さん:そうですね。妻の苦手なことが、僕は結構好きなんです。壁とかも拭くし、換気扇も上部まできれいに掃除します。家事は、妻と自然にバランスが取れているみたいでよかったなと思っています。
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独自の人づき合いポリシーをもつ鰻さんですが、幅広い年齢層との交流があるそうで、重鎮に対しても自分から「ご飯連れて行ってください」と声をかけるのだとか。うなぎ関連の人脈も広いものの、肝心の仕事にはなかなか活かせていないようです。
取材・文/高梨真紀 写真提供/鰻 和弘