「連れ添って32年」近ごろはお互い寛容になった

── 長年連れ添ってきて、夫婦関係に何か変化を感じることはありますか?

 

橋本さん:振り返ると、昔は私のほうが我慢していたことが多かったように思います。夫と出会ったとき、私は地方局のアナウンサーで、夫は東京からゲストで来たタレントという立場でした。おまけに11歳上。夫のことを尊敬していたので、結婚当初は家でも敬語を使っていましたね。結婚してからずっと乳製品を控えていたけど、これも夫のため。夫は乳製品が大嫌いなんです。「牛乳やチーズを口にした子とはキスもしたくないくらい嫌い」と言われていて。でも、身体のことを考えると、やっぱり乳製品はとったほうがいいじゃないですか。それにもう旦那とキスすることもないし(笑)、食べていいんじゃないかなと思って。そう考えて以来、ふつうに食べたり飲んだりしています。

 

昔と比べて、私もだいぶ物を言えるようになりました。いまは夫のほうが我慢しているんじゃないかなと思うこともあります。最近は私がしょっちゅう忘れ物をしているから、そのたびに夫はつき合わせるはめになっていて。「こいつ、本当は認知症かもしれない」と夫は思っているのではないでしょうか。近ごろは私が何かを忘れても、もう怒られなくなりました(笑)。

 

取材・文/小野寺悦子 写真提供/橋本志穂