「M-1グランプリ」での優勝を目指し、トークライブや舞台で多忙を極めるお笑いコンビ・ゆにばーすの川瀬名人。大学卒業後に芸人を志して上京し、吉本興業の養成所に入所します。ところが、想像を超える事件が起こり、家を失ってホームレス生活を余儀なくされます。(全3回中の2回)

同棲中に増えていく違和感

川瀬名人
漫才のネタを考える日々

── 吉本興業の養成所に通っていたときに、ホームレスになったとお聞きしました。経緯を教えてください。

 

川瀬名人:26歳で関西の大学を卒業したあと、芸人になりたくて東京に出てきたんです。19歳のときに初めてできた彼女と一緒に上京して、同棲を始めました。彼女を連れてきた以上、早く売れなければという思いがありましたね。当時は、個人経営のカラオケ店でアルバイトをしていたんですが、それ以外の時間は、ほぼずっとネタ作りやネタ合わせに費やしていて。だんだん家に帰らない日が増えていったんです。

 

── 彼女のためにもがんばっていたんですね。

 

川瀬名人:彼女は仕事をしていたので、僕がネタ合わせから帰っても不在で、すれ違う日々が続いていました。そんななか、家の中に長い髪の毛が落ちていることが増えてきたんです。僕も彼女も髪が短かったので、おかしいなとは思ったんですが、彼女は「友達が遊びに来た」と言うので、最初は信じていました。でもある日、タバコの吸い殻が落ちていたんです。明らかに、友達ではないと思うことがだんだん増えていきました。

 

── タバコの吸い殻はショックですね。

 

川瀬名人:極めつけは歯ブラシです。僕は青、彼女は赤の歯ブラシを使っていて、いつも洗面台に並べて置いてたんです。でもある日帰ったら、真ん中に黄色の歯ブラシが並んでたんですよ。