M-1グランプリで優勝したら、お笑いをやめて海外に行きたい── 。お笑いコンビ・ゆにばーすの川瀬名人は、「M-1グランプリ」での優勝を目標に掲げ、決勝常連組として着実に目標に向かって活動を続けています。そんな川瀬名人、学生時代はさぞ人気者かと思いきや、当時は友達がひとりもおらず── 。(全3回中の1回)
友達の自己紹介を見て、変なスイッチが入った

── 「M-1グランプリ」決勝常連組のゆにばーす。学生時代からさぞ人気者かと思いましたが、高校時代は友達がひとりもなかったと伺いました。
川瀬名人:リアルに3年間、友達がいませんでしたね。しかも、いじめられていたとか、何か特別な理由があったわけではなくて、シンプルに友達がいない状況です。いじめられているわけではないけど、誰かとつるむわけでもない。謎の不気味なやつという立ち位置で3年間を過ごしました。
── あえて友達を作らなかったのですか?
川瀬名人:高校の入学初日に、友達を作ろうとしてとった行動が、完全に裏目に出たんです。入学式の初日って、クラスで自己紹介をするじゃないですか。そのとき、僕の前の席に座っていた男子が一発ギャグをやったんですよ。それを見て、かなり衝撃を受けたんです。芸人でもないのに、いきなり一発ギャグをするとか、とんでもない度胸やなと。それで僕も変なスイッチが入ってしまいました。
── どうされたのでしょうか?
川瀬名人:当然、一発ギャグなんて持っていないので、何を血迷ったのか「好きな食べ物はジャガイモです」って言ったんですよね。「ポテチが好き」とか「コロッケが好き」ならわかるけど、それを素材で言うのがおもしろい、みたいな。今考えても、まったく理解できないボケをしたんです。そしたら、ただのジャガイモが大好きなやつになって、よくわからない空気になりました。もちろん、だれも笑っていません。
友達としゃべるきっかけがなくなった
── なかなか厳しい状況ですね。その後、どうなったのですか。
川瀬名人:自己紹介って、その後に話すきっかけを作るものじゃないですか。「趣味は野球です」って言ったら、そこから会話が広がって「一緒に野球部入らへん?」みたいな話ができたり。「好きな食べ物はラーメンです」って言えば、学校帰りにラーメンが好きな人たちと食べて帰ることもできますよね。でも、好きな食べ物をジャガイモと言った時点で、ジャガイモ好きな人にしか刺さらない自己紹介になってしまいました。仮にジャガイモ好きな人がいたとしても、そこから話も広がりませんからね。当然、誰とも話すきっかけがなくなってしまったんです。
── その後もずっと、だれとも話さなかったんですか?
川瀬名人:その後も、何回か友達をつくるきっかけはあったと思うんですけど、ことごとく外していきました。たとえば、体育祭の種目決めをするときに、みんなが1500m走に出たがらなかったんですよ。距離が長いし面倒だし、嫌じゃないですか。だから、これは友達作りで挽回するチャンスだと思ったんです。みんなが嫌々走るなかで、ぶっちぎりで1位になれば何かが変わるかもしれないと思いました。それで、みんなが走りたがらないなか、ひとりだけ1500m走に立候補したんです。そこから1か月間、毎日走りました。