ビッグベビーで計画無痛分娩のはずが

久下真以子、羽賀理之
出産の記念に赤ちゃんにも金メダルを

── 2024年11月、第一子となる息子さんが誕生しました。出産も順調だったのですか?

 

久下さん:それが、出産だけは大変でした。妊娠初期から子どものサイズが大きいと言われていたのですが、36週ですでに3200gを超えていると推定されたんです。40週の予定日まで待っていたら4000gを超えるかもしれずリスクが大きいということで、37週で早めに計画無痛分娩をすることになりました。陣痛促進剤を打ち、ラミナリア(子宮頸管拡張器)を何本も入れ、バルーンや点滴で子宮口をやわらかくし…と、いろいろと処置してもらったのですが、ひたすら痛いのに子宮口が全然開かなくて。5cmまで開かないと無痛の麻酔が始められないのですが全然、進まず。気絶と悶絶を繰り返し、15時間踏ん張っても3cm弱しか開かないので「もうやめたい」と泣き叫びました。翌日、仕切り直しをしたのですが、最終的には陣痛が来なくなってしまい、急きょ帝王切開に切り替えて手術になりました。

手が不自由でも工夫をして育児分担

── お子さんも生後半年になると思いますが、子育てしてみていかがですか?

 

久下さん:ありがたいことに母乳やミルクを飲んだらすぐに寝る子なので、そこまで睡眠不足になることもなく過ごせています。4月から保育園に通い始めてほぼミルクになりましたが、最初に夫に預けて外出をするときはちょっと緊張しました。

 

── おむつ替えや夫婦の育児分担などはどうされているのですか?

 

久下さん:おむつ替えは、夫も練習をしたらできるようになりました。夫は胸から下は動かず、手は不自由ながら動かせるのですが、おむつのテープを両手で持ってとめるのが難しかったようで、マジックテープを指に巻きつけてとめるなどベストな方法を模索していました。首がすわる前の抱っこも難しかったので、背もたれの傾斜がつくようなベッドを買い、背もたれを起こしてゲップさせるなど工夫をしていました。首がすわったいまではベッドを使わずに抱っこをしてゲップさせることができるようになりました! 車いすでベビーカーを押すのは、風が強い日は難しいみたいですね。赤ちゃんをお風呂に入れることはできないのですが練習中ですし、ミルクの瓶も洗えますし、今まで以上に家事を手伝ってフォローしてくれます。

 

 

現在も家族3人、仲睦まじく過ごす久下さんですが、実は結婚からしばらくして、お母さんが事故で亡くなっています。当時は悲しみに暮れ、酒を飲んで引きこもる日々。そんなどん底から一念発起しダイエットを始めたところ、10キロの減量に成功。トレーナーの助言で「ベストボディジャパン」の地方大会に出場し、さいたま大会では見事準グランプリを獲得したそう。このときも、メンタル面で大きな支えになってくれたのが、夫の羽賀選手だったそうです。


取材・文/富田夏子 写真提供/久下真以子