歌をつくるときに決めているたったひとつの「ルール」

── 子どもの歌をつくるとき、たとえば「こんな言葉を使おう」とか「音幅はこれくらいに」など、意識されることはあるのでしょうか?

 

坂田さん:言葉とか音について絶対こうする、というのはないですね。ただひとつ決めているのは、歌詞に必ず「明日はいいことあるかもよ」とか「未来はあるよ」みたいなフレーズを入れること。

 

── そういえば、坂田さんの歌にはなんとなく希望を感じます。

 

坂田さん:僕がうたのおにいさんになる前につくっていたのは、暗い歌が多かったんです。だけどあるとき、ジャクソン・ブラウンというアメリカのフォークシンガーのインタビューを読んだのね。彼はそのインタビューで「歌をつくるときは、たったひと言でも、将来への希望や明るさを必ず入れるんだ」と言っててね。それはその通りだなと、すごく影響を受けました。

 

── じゃあ、それ以降は歌詞が変わった?

 

坂田さん:変わりましたね。僕が歌をつくる以上は、悲しい、辛いとか、苦しい気持ちの中にあっても、ひと言「明るい未来があるかも」と言いたい。

 

── 子ども向けの歌だからですか?

 

坂田さん:いや、子ども向けとか関係なく、いちソングライターとしてそう思います。子どもも大人も、僕の歌を聴いたあとは「なにか、いいことあるかもな」と思ってほしいから。それだけはずっと、心の中にありますね。

 

 

坂田さんが『おかあさんといっしょ』のうたのおにいさんになったのは、32歳のとき。それまではロック&フォークの世界にいて、「子ども相手の歌なんて絶対ムリ」と思っていたそうです。

 

取材・文/前島環夏 写真提供/坂田おさむ