男らしさに憧れていた中学時代は筋トレする日々
── もともと女装してみたいという気持ちはあったのでしょうか?
谷さん:いえ、女装願望はまったくありませんでした。逆に「男らしさ」に憧れていたんです。私はもともとホルモンバランスがよくないようで、その影響で中学生のとき、筋肉がけいれんしたり、首が動きづらい病気になって治療したりしたことがあります。身体が小さく、筋肉があまりなかったので、「たくましい男性になりたい」と中学時代に毎日筋トレをしましたが、ダメでした。以来、男らしさがたりないコンプレックスをずっと抱えていたんです。
── そのコンプレックスは女装してからどのように変化しましたか?
谷さん:自分が男らしさに欠けると思いこんでいた低めの身長や細い体つきが、女装する際に、逆に強みになりました。女装モデルの仕事に入るきっかけをくれた人の言葉がいまでも忘れられません。「自分がコンプレックスだと思っていることは、他人にはわからないことが多い。抱え込んでいるのは自分だけ。コンプレックスを磨いて武器にするほうがいい」。この言葉通り、美容や女性らしいしぐさの研究を重ねた結果、長年のコンプレックスが武器になりました。
── コンプレックスを磨いて強みに。きっと、女性として美しく見せるための努力を陰で重ねられたのでしょう。女装モデルとしての自信が伝わってきますし、本当に輝いています。
谷さん:もちろん努力はしていますが、自分の努力だけで女装生活が維持できるわけではありません。家族や仕事仲間など周囲の理解やご縁のおかげだとつねに感謝の気持ちでいっぱいです。