婚約破棄に中傷も「これが私の人生です!」

── サバゲーをきっかけに、新しい世界がどんどん広がっているのですね。
りりあんぬ葵さん:行動すれば、何かが変わる。それを身をもって実感したことで、やりたいと思ったことには迷わず挑戦するようになったんです。動き出すスピードも、すごくはやくなりました。
昔から憧れていたジープ「グラディエーター」もお迎えしました。軍用車のような無骨なデザインにひとめぼれして、800万円という目の飛び出るような金額でしたが、思いきって一括で購入。納車のときはうれしすぎて、車の周りを何度もウロウロしてしまったほど(笑)。その後、すぐにカスタムに出して、塗装や車高アップ、タイヤ交換、パーツ追加などをしていった結果、総額は1100万になりました。
銃や装備、バイク、車で貯金を使い果たし、親には「大丈夫なの?」と心配されていますが(笑)、それ以上に人生が楽しく豊かになったので、後悔はまったくしていません。むしろ、働くモチベーションになっていて、「もっとがんばろう」と思えるんです。
今では、もともとやっていた翻訳・通訳業のほか、サバゲー関連やアウトドア系の企画が主な仕事になっています。趣味がきっかけで、こんなにも自分の可能性が広がるなんて思ってもいませんでしたね。
ただ、サバゲ―に夢中になりすぎたことで、4年間つき合った彼と婚約破棄という大きな転機も経験しました。
── サバゲーが原因で、婚約破棄に…。どういう状況だったのですか?
りりあんぬ葵さん:サバゲーにハマって半年ほどたったころでした。もともと婚約していたのですが、サバゲーにのめり込むあまり、彼と会う時間がどんどん減っていって。彼は「家庭に入ってほしい」と考えていたけれど、私はちょうどサバゲーが仕事になり始めたタイミングだったんです。
人生で初めて痩せて、自分に自信を持てた。心から夢中になれるものを見つけて自己肯定感もグンと上がった。その大切なものを、どうしても手放したくなくて。悩んだ末に、婚約を破棄して自分の道を進むことを選びました。
SNSでその思いをつぶいたときに「親を喜ばせるためには、結婚して子どもを産むのが正解じゃないの?」というコメントもありました。でも、これは私が悩みぬいて出した答えです。だから、誰に何を言われても、「これが私の人生です!」と胸を張って言えるんです。
PROFILE りりあんぬ葵さん
りりあんぬ・あおい。1995年生まれ。アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。大学卒業後、通訳・翻訳業に従事。現在は、サバイバルゲームやアウトドア系の企画、モデルとしても活動している。
取材・文/西尾英子 写真提供/りりあんぬ葵