仕事をとるか、子育てをとるか。究極的な場面ではなくて、誰しもが考えさせられることはあります。俳優業中心から、いまはヨガスタジオを経営する松本莉緒さんもそのひとりでした。(全3回中の3回)
子どもの成長を考えて新潟へ移住
── 2020年に長男を出産し、2年前から新潟に移住した松本莉緒さん。移住を決めたきっかけは、なんだったのでしょう?
松本さん:コロナの時期で子どもが伸び伸びと遊べる場所がない環境に不安を感じたことが大きかったですね。以前通っていた東京の幼稚園は園庭がマンションのベランダで、思いきり体を動かして遊べる場所がなかったんです。子どもの心が育つ大事な時期だからこそ、自然と触れ合いながら、思いきり遊ばせたいなと思い、夫婦で話し合って夫の故郷である新潟への移住を決めました。
いま通っている幼稚園は、びっくりするほど広い園庭があって、シュタイナー教育を取り入れているのですが、好奇心旺盛な息子にはすごく合っているみたいです。新聞紙やティッシュの箱など、身の周りにあるものでおもちゃを作ったり、どんぐりや木の実を拾ってプレゼントしてくれたり。子どもって本当にクリエイティブだなあと感じます。自然のなかでイキイキと過ごす息子の姿を見ると、移住して本当によかったなと思いますね。
── 子育てをしながら、ヨガインストラクターとして現場に立ち、スタジオ経営も担っていらっしゃいます。育児と仕事のバランスについて、どんなふうに考えていますか?
松本さん:仕事はもちろん大切ですが、息子と過ごす時間は、それ以上にかけがえのない宝物です。もし息子が寂しさや不安を感じるなら、私は迷わずこの場所を手放し、子育てに専念するつもりでいます。とはいえ、いまは家族やスタッフの支えのおかげで、無理のないバランスで両立できていると思います。

── ヨガイベントに登壇したり、各地でワークショップを開催するなど、忙しい日々を送っていらっしゃいます。出張で家を空けるときは、どうされていますか?
松本さん:夫に任せることもあれば、連れて行くこともあります。最近は息子も、リトリート(ヨガや瞑想、ワークショップなどを中心に、自分と向き合う旅に出かけること)に一緒に参加できる年齢になってきました。去年、タイのヨガリトリートに参加したときは、ちょうど「コムローイ祭り」の時期だったんです。空に5000個のランタンが舞い上がる幻想的な光景を息子に見せたくて、一緒に連れて行きました。息子もその光景にすごく感激して、ずっと空を見上げていましたね。
そうして、いろんな文化に触れられるのもいい経験になりますし、ヨガの場は温かく穏やかな人たちばかりなので、子どもがいても自然に受け入れてくれる。子育てと両立しやすい環境だと感じます。小さなころからいろんな人と接しているおかげか、息子は誰にでも気さくにしゃべりかける超陽気な子になりました(笑)。