活躍の場を去って、新たな道へ進む。外野は「もったいない」「大丈夫なの?」と心配することも。『モテキ』などに出演していた松本莉緒さんは芸能界から、ヨガの世界へ。いまが一番幸せで仕事が楽しいと話してくれました。(全3回中の2回)

ヨガとの出会いは幼少期「20代で再び始めて」

── 11歳で芸能界デビューし、数々のドラマや映画、CMに引っ張りだこだった松本莉緒さん。2014年に国際ライセンスを習得し、ヨガインストラクターに転身。現在は、移住先の新潟でヨガスタジオを運営されています。そもそもヨガと出会ったきっかけは何だったのですか?

 

松本さん:ヨガと最初に出会ったのは、子どものころです。母がチャクラやヨガに興味があって、私もときどき一緒にヨガレッスンに連れて行ってもらったことがありました。体を動かすのが楽しかったし、ヨガをした後は子どもながらに、なんだか気持ちがスッキリする感じがして。母は気やチャクラといった、身体の自然治癒力を高める方法を勉強していて、私が「お腹が痛い」「頭が痛い」などと言うと、その部分に手を当てて温めてくれました。すると、不思議と痛みがやわらいだり、気持ちが落ち着くことがあって。そうした感覚が、私のなかでずっと残っていたんです。

 

── 子どものころからヨガに親しむ環境があったのですね。その後、芸能界に入ってからもヨガを続けていたのですか?

 

松本さん:いえ、忙しくてしばらく離れていました。再びヨガに触れたのは、20代で始めたサーフィンがきっかけです。海に入る前、準備運動として久しぶりにヨガをしたら、心がスッと落ち着いて。子どものときに感じていた、あの懐かしい心地よさが蘇ってきたんです。そこから、またヨガをするようになりました。ちょうどタイミングよく、周りの方からの「ヨガ向いてるよ。ちゃんとやってみたら?」という助言もあって、「きちんと学んでみたい」と、思うようになったのが30歳くらい。スクールに通ってよき師匠に出会い、どんどん夢中になっていきました。そのうち、自分がやるだけじゃなく、多くの人にヨガの魅力を伝えたいなと思うようになったんです。

 

松本莉緒
2018年にはインドでのヨガ修行も経験

── 当時はドラマなどでも活躍されていましたね。順調にキャリアを積んでいた松本さんがなぜ芸能界から離れて、ヨガの道に進まれたのでしょうか。

 

松本さん:あのころは目の前の役者という仕事にひたすら向き合う日々で、毎日セリフを覚えていました。ありがたいことに役者以外にも、モデル、デザイナーなどいろんなお仕事をさせていただき、楽しさややりがいを感じるいっぽうで、本当に自分がやりたいこと、自分らしく生きられることってなんだろう?と格闘していました。「私の居場所はここではないのかも」という違和感が、つねに心の奥にありました。