大事故に自宅荒らしの被害…それでも

── エネルギッシュですね。その行動力はどこからくるんでしょう?
カイヤさん:私はファイティングスピリッツがありますから(笑)。実は昨年3月、高速道路で猛スピードの車に突っ込まれるという大事故にあったんです。顔や首、背中を強打し、足の爪はなくなりました。病院では「もうハイヒールは履けない」「モデルの仕事は絶対無理」とまで言われて…。でも、私は諦めたくなかった。だから「10月までには絶対に復帰する!」と自分のなかで誓いをたてました。
── そんな大事故にあわれていたとは…大変だったのですね。絶望的な気持ちにはならなかったんですか?
カイヤさん:つらかったですよ。トイレにはって行くような状態でしたから。でも、私はいつも暗闇の中でも光を探すんです。だって自分を信じないと何も始まらないから。耳を澄ますべきなのは、自分の内側の声なんです。「私はできる。これを乗り越えればきっと素晴らしいことが待っている」とランウェイに立つ姿を思い浮かべ、気持ちを奮い立たせました。そしたら、これまでの海外のブランドショーに出演した実績などをかわれ、なんとまた声をかけていただいたんです!ステージが終わった瞬間、涙がこぼれました。すべてが、この瞬間に繋がっていたんだと、心が震えましたね。
── さまざまな逆境に立ち向かってきたカイヤさんですが、さらに、ご自宅でも思いがけない困難に直面されたとか。
カイヤさん:大きな被害にあいました。ある日、天井から水漏れが発生し、業者に修理を依頼したんです。作業が日をまたぎ、お湯も使えない状態だったので一時的に家を離れ、数日後に自宅の玄関を開けた瞬間、目を疑いました。ソファは引き裂かれ、家具も倒され、ブランドバッグや宝石類も傷だらけ。部屋には食べ散らかした跡や動物の排泄物まで…。一瞬、何が起こったのか理解できませんでした。
実は、部屋を荒らした犯人は「ハクビシン」だったんです。どうやら工事中の穴から侵入した模様。その後、部屋の消毒やクリーニングをしてもらいましたが、インテリアはほぼ全滅。見積りでは被害総額4000万円と言われ、ショックでしたね…。でも、ふと思ったんです。「これで本当に自由になった!」って。
── それは、やけになって…?
カイヤさん:違います(笑)。周りには「大丈夫?ちょっと変になっちゃった?」って言われましたけど(笑)。でも、モノはいつか手放すもの。だって、死んだら何も持っていけないでしょ。そう思ったら、心がフッと軽くなり、爽快な気分になったんです。2023年には、それまで住んでいた家も手放しました。独り身となり、家もモノも整理した今の私は、本当にフリーダム!ようやくすべてから解き放たれたような、不思議な心地よさがありました。
── すべてを手放した先に、そんな前向きな感覚があったとは…。
カイヤさん:もともと私は「物事のいい面を見る」という価値観のなかで育ってきました。子どものころ、感謝の言葉を毎日、口にする習慣があったんです。でも、昨日と同じ言葉じゃダメ。「ちゃんと心がこもっていないと意味がない。感謝がすべてを生むのよ」と母に教えられてきました。だから、どんな状況でも嘆かず、すべてに感謝することを大事にしています。人生で今がいちばん楽しいですね。
「もうこの年齢だから無理」とよく言ったりするけれど、それってすごくもったいない!私にはそうした考え方はいっさいないんです。いくつになっても「さあ、今から何をしよう?」といつもワクワクしています。「何歳だから」じゃなくて、「やりたいか、やりたくないか」、それだけでしょ。だって自分の人生ですから。
PROFILE カイヤさん
カイヤ。5月25日米国シカゴ生まれ。テレビ・映画・世界各国でモデル業のほか、カウンセラー・モチベーションコーチとしても活動中。
取材・文/西尾英子 写真提供/カイヤ