60日ダイエットで17キロ減も
── 以前、テレビで語られていた「最高月収320万円から6万円まで落ちた」という話を聞いて、衝撃を受けました。
田崎さん:320万円というのは瞬間的な話です。CMとかいろいろ重なった月があっただけで、ずっとそんな額だったわけじゃないですよ。ブレイクしたころは、手書きのスケジュールが真っ黒だったのに、気づいたら空欄が増えて、あらら…と。2007、08年がピークで、2010、11年には下降。休みなしが当たり前だったのが、気づけば3連休、1週間ということも。もちろん不安はありました。でも、芸人になった時点で、人生バクチみたいなもの。先輩方を見ていても浮き沈みはあるのは当然で、どこかで「なんとかなるだろう」と。仕事がない時期は、芸人仲間と集まって家で飲んだり、後輩と出かけたりして、気を紛らわせていましたね。
── 仕事が減った時期に、賞レースやライブを続けることで力を蓄え、次のチャンスに備えていたのですね。そんななか、2016年には、ダイエットで60日で17キロ痩せられたとか。なにかきっかけが?
田崎さん:完全にプライベートで、「なかのメソッド」という短期集中のパーソナルトレーニングを2か月やったんです。きっかけは、知り合いのひと言。「ラララライ体操をやっていたころは痩せてたのに、やめたらめっちゃ太った」と。なるほど、あれってエクササイズ効果があったんだなと気づきました(笑)。ただ、自分ひとりだとダイエットが続かないので、知り合いのトレーナーがやっていた、なかのメソッドにチャレンジ。糖質制限とジムでの運動で、2か月で17キロ落ち、達成感がありました。ただ、その1、2か月にはリバウンドしてしまいましたけれど。
── ラララライダイエット、アリな気がしますけど(笑)。
田崎さん:実際、あの動きってエクササイズ効果があるんですよね。結構、疲れるんです。ひんぱんにやっていたころはたしかに痩せていたので、ある意味、自分がその効果を証明していますね(笑)。
── 今後やっていきたいことはありますか?
田崎さん:僕は、2017年に腎臓がんを経験しているのですが、病気と向き合うなかで、健康管理の大切さを実感し、日々の過ごし方も変わりました。この経験を話すことで、誰かが自分の体に目を向けるきっかけになればいいなと思っています。最近は講演会をさせてもらうことも増えたので、そうした活動をもっと広げたいですね。
芸人としては、いま44歳なんですが、「自分は何者なんだ」っていうのを、ちゃんと見つけていきたいと思っているんです。「藤崎マーケットといえばこれ!」と胸を張って言えるものがまだないんですよね。万能型になるんじゃなくて、もっとスバ抜けたもの、際立った個性が欲しいんです。
最近は関西の芸人仲間と「パパ芸人ユニット」を組んで活動しています。僕は2人の子どもがいますが、子育て中のパパ芸人たちが集まって、親としてのリアルな体験や「パパあるある」を発信しているんです。年配のパパだと、自転車の練習のつき添いとか、体力的にめっちゃきつい(笑)。劇場の合間に家に帰って子どもをお風呂に入れ、また劇場に戻って漫才をしたりしています。ほかにも、子育て世代向けのリノベーション住宅を取材するなど、「パパ芸人」目線で発信できることを増やしたいです。
PROFILE 田崎佑一さん
たさき・ゆういち。1981年生まれ、兵庫県出身。吉本興業所属。2003年 NSC大阪校26期生。2005年に結成した藤崎マーケットのツッコミ担当。2012年に第10回MBS漫才アワード優勝、2014年に第3回ytv漫才新人賞優勝、2017年 歌ネタ王決定戦優勝などの経験を持つ実力派コンビ。
取材・文/西尾英子 写真提供/田崎佑一