会社勤務の後、パーソナリティーに転身したジョン・カビラさん。長年仕事を続けるにあたって工夫していることがあるそうです。「想定内を超えていく」というモットーを伺います。(全3回中の3回)

仕事はおもしろがること

── ラジオのパーソナリティーや司会業を中心に活躍されていますが、会社にお勤めしていた時期があったそうですね。

 

カビラさん:大学卒業後、当時のCBSソニー、現在のソニー・ミュージックエンタテインメントに就職して6年4か月働きました。会社員生活はとても刺激的でした。

 

ジョン・カビラさん
「お疲れさまです!」スタジオでラジオの仕事をするジョン・カビラさん

先輩方にはお世話にしかなっていないといいますか、本当に学びが多く、たくさんのことを経験させてもらいました。仕事を辞めたのは職場環境や人間関係が理由ではなく、自分の今後のキャリアを考えたときに、この先、昇進をしていって組織の上の立場になっていくというのは、ちょっと違うのかなと思い始めていました。今思えば甘い考え方ではありますが、そういう意識があったときにお声がけをいただいたのがきっかけで会社を退職しました。「声」という僕の中の別の能力を見出してくださった方には感謝しかありません。

 

── 沖縄で戦後初のアナウンサーだったお父さんと同じ世界に飛び込んだわけですね。

 

カビラさん:相談も何もせず、父には事後報告でした。そしたらニコニコしていましたね(笑)。

 

── 会社を退職したあと、ラジオパーソナリティーに抜擢されました。

 

カビラさん:基本的にお仕事はオファーをいただくものなのですが、すべてが奇跡としか言いようがないです。小さな奇跡が連続して起きていて今に繋がっているので、非常に幸運だと思っています。ラジオ局「J-WAVE」は1988年の開局からナビゲーターをさせてもらっていますが、ありがたくも仕事は本当に楽しいですね。こんなこと言ったら「嫌味なやつだな」なんて声が聞こえてきそうなのですが(笑)。でも仕事は楽しまないと、毎朝3時半に起きて4時前に職場に着く生活を月〜金では続けられません。開局したころは、ほぼ毎日担当があったので、もうこれは楽しもうと。それに自分ひとりではなく、チームで楽しむことも大切だと思います。

 

── 仕事のおもしろがる、とはどういったことをされているんですか。

 

カビラさん:同じことをするにも、違う角度で見るとか、アプローチを変えてみるのもいいと思うんです。いつもの仕事でも、どういうところに目を配ればいいんだろうとか、どういう話し方をすればいいんだろう、どういうプレゼンをすればいいんだろうという少しの工夫で見え方が変わってきます。でもそれには、下調べなどの事前準備はやっぱり必須ですね。