視聴者のほうがフラットにみてくれる

── テレビ業界も、まだまだ変わるべきところがあると。

 

濱田さん:そうですね。こういう話になると、作り手側が「視聴者の意識が慣れていけばいい」みたいなことを言いがちなんですけど、視聴者はおもしろかったら「おもしろい」ってフラットに見てくれていると思うんですよ。どちらかというと、変わっていくべきは作り手側なのかなと思います。

 

濱田祐太郎
YouTubeではトーク動画を精力的に更新中

視聴者は「おもしろさ」で評価してくれるので、障害がある人でもおもしろければテレビにどんどん出していいと思うんですよね。まだ僕以外には出てる人が少ないから、批判がくることもあるでしょうけど、それを怖がってたら何もできないですし。人気のお笑いバラエティ番組なんて、企画によっては障害関係なく山ほど批判が来てると思います。そこで止まるんじゃなくて、「テレビに障害のある人が出るのが、当たり前の世の中だ」って言わなくていいくらい、当たり前になったらいいなと思います。

 

そのためにも、作り手側に障害者を使うことに慣れてもらえたらいいなと。たとえば、「どういうサポートをしたらいいかわからへん」みたいなことを言う人がいますが、それは理屈として通らへんなって思うところがあって。今までどれだけ福祉番組やってきてんねんって思う。「サポートの仕方なんて、膨大なデータが蓄積されてるんちゃうんかいな」と。それを、自分たちの番組制作に活かそうとしていないのは、テレビ側が、作り手側があんまり障害のある人を使うということに対して前向きじゃないということの表れなのかなという気がします。

 

── ちなみに、濱田さんから見て、障害のある方で「もっとテレビに出てもいいのに」と思う人はいますか?

 

濱田さん:人としての魅力という意味で、ピアニストの辻井伸行さんとか、車いすテニスの小田凱人選手とか、素敵だなと思います。ほかにも、たくさんいると思いますけど、「おもしろい」という意味では僕がいちばんかな(笑)。

 

── お笑い界では濱田さんがトップということで(笑)。

 

濱田さん:そうですね。「R-1ぐらんぷり」で優勝してますから。ちゃんとしたお笑いの大会で優勝してる障害者って僕だけなので!

 

PROFILE 濱田祐太郎さん

はまだ・ゆうたろう。1989年9月8日生まれ。先天性の緑内障による視覚障害を持ちながら、ピン芸人として活躍している。2018年の「R-1ぐらんぷり」で優勝。YouTubeチャンネル「濱田祐太郎 Official」では、日々トーク動画を更新中。5/30には初の主演舞台『盲目のお蕎麦剣士が巻き起こす新喜劇』が開幕予定。

 

取材・文/髙木章圭 写真提供/濱田祐太郎