「女の子の夢を応援したい」学校という場を作ろうと
── そこからなぜ校長に?学校を作ろうと思った動機はなんだったんですか?
赤荻さん:モデルの卵たちを育てて、彼女たちの夢や目標を一緒に叶えていく。それが『egg』という媒体のテーマだと思っていて。実際に元『egg』専属モデルのゆうちゃみは、「いつか毎日テレビに出るギャルタレントになりたい」と当時から言っていて、それを叶えています。ほかにも「女優になりたい」「カラコンをプロデュースしたい」と、いろいろな夢を持つ子たちをサポートしてきました。次はステップアップというか視野を広げて、学校という場で、ギャルだけではなく全国の女の子たちの夢を応援できたら、と考えたのがはじまりでした。
あと、やっぱりいまの子たちって、リアルでつながれる場が少ないんですよね。私がギャルサーに入っていたときは、渋谷に行ったら誰かしらいて、いろいろな人と知り会うことができた。私が編集長になれたのは、ギャルサーのときにリアルで会った人たちと縁ができ、それがチャンスにつながったからです。リアルの大切さを知っていたので、いまの子たちが実際に集まれる場所を渋谷に作れたらと思って。「夢を見つけたい」「夢を叶えたい」という女の子たちと一緒に高みを目指していくコミュニティを作りたかった。それを実現できるのが学校だと思ったんです。
── ただ実際に学校を立ち上げるとなると、なかなか大変そうですが…。
赤荻さん:25歳のとき『egg』を卒業して、シブジョ立ち上げの準備期間に1年くらいかけました。専門学校を立ち上げたことがあるギャルサーの先輩がいて、アドバイスをもらいつつ、スタッフと一緒に作っていった感じでした。私自身のいちばんの役割は、シブジョを知ってもらうこと。あとシブジョに興味を持ってくれた子たちに、実際に入りたいと思ってもらえるようにコミュニケーションを取ること。
まず渋谷周りのインフルエンサーさんたちに協力してもらい、私が「学校を立ち上げるよ」と、SNSで発信してもらいました。さらに、原付で日本全国を一周しています。私のインスタで、「何日はどこの県のどこに行きます、興味のある子は会おう!」と告知していきました。ピンクのつなぎを着て、ピンクの原付に乗って。途中でホテルに泊まることもあれば、キャンプをしたりと、4か月くらいかけて全国を回っています。

── 原付で全国とは、パワフルですね!
赤荻さん:私のなかで「全国から生徒に集まってほしい」「シブジョを日本一の学校にしたい」という気持ちがありました。でも、そう言う私自身が47都道府県全部に行ったことがないのはちょっとダサいなと。じゃあ、開校前に行っておこうと考えて。ただ、原付なので高速に乗れないのが、超だるかったけど(笑)。実際に会いに来てくれた子と個人面談をしたり、パンフレットやステッカーを配って歩いたりしました。まったく関係ない人からも「日本一周してんの?頑張って!」なんて言って、差し入れをしてくれるようなこともありましたね。
全国の中学生の実態を知りたい、というのも日本一周の理由のひとつでした。実際、地方の子たちと話していると、彼女たちの多くが、東京に上京すること自体に親御さんが反対していると悩んでいましたね。あと、目立ったことをするとすぐ叩かれるというのも地方ならではの悩みのようでした。本当はミスコンに出たいのに、「あいつミスコン出ようとしてんだって、やばくね?」なんて陰口を言われたり、SNSで活躍したいのに、いざ発信するとバッシングされてしまったり。だから地元では好きなファッションもできないと言っていて…。そういう話を聞くと、私は「気にすんなよ!」って言います(笑)。「本当に自分がやりたいのなら、私は味方だから頑張りなよ!」って、伝えていました。