恋する乙女の母を「見ていられない」
── ご自身で反抗期だと感じた時期はありましたか ？
新山さん：お母さんがお父さんと出会っておつき合いしている時期と、私がダンスという、自分が夢中になってやりたいものを見つけられた時期がちょうど重なっていて。いろんな意味で環境が変わった中学時代でした。このころ、お母さんから言われるささいなことがきっかけでケンカに発展することがありました。よくあることだと思うのですが、「勉強しなさい」と言われると、「やっと自分でしたいことを見つけたのに」と反発したくなってしまって。
当たり前ですが、テレビに出ているときと違って、普段は、すっぴんにお団子、部屋着のお母さんが、お父さんとデートに行く際は、やっぱりおしゃれをしているんです。今なら純粋にそんなお母さんを「かわいいな」と思えるのですが、当時はそういう姿を見て、「恥ずかしいな」という思いのほうが強かったです。それまで、恋する乙女になっているお母さんの姿を見たことがなかったので、「もう見ていられない」という感じで（笑）。でも、お母さんが楽しそうにしていることも、新しくパートナーができて、結婚もして家族になれたこともすごくうれしいです。
── 夢中になれるダンスの道に進んでいるということですが、進路に関してもお母さんは心配されていたそうですね。
新山さん：反対はされなかったのですが、母からはすごく心配されました。「本当に大学に行かなくて大丈夫？」と何度も聞かれました。「学校に行かないということは、自分できちんとした目標があるということ。そのために何をしなくちゃいけないか、自分でわかっている？」と。小さいころからお母さんにはなんでも話してきたので、自分がしたいことや現状について逐一報告や相談をして、最終的には私の夢をあと押ししてくれて今に至ります。
── 小さいころからダンスを習っていたのですか。
新山さん：物心つく前から踊ることが好きで、3歳からダンスを習い始めたのですが、小学生で「もうやらない」と言って一度辞めているんです。でも、そのあとお母さんが「運動したいから一緒についてきてよ」と言って、ダンスレッスンにイヤイヤついていったのを覚えています。ダンスを本格的に再開したのは、中学1年生でした。ちょうどコロナ禍で、韓国のアイドルグループ、BTSにハマったことがきっかけで。はじめはMVを見て、ダンスをコピーすることから始まったのですが、何万人という人の前でパフォーマンスをして、世界を舞台に活躍している姿がカッコいいなと。いつか私も、エンターテイメントの世界でたくさんの人に大きな影響を与える存在になりたいという夢が生まれました。
── 海外にダンス留学の経験もあるそうですね。
新山さん：アメリカのロサンゼルスにダンスを習いに行ったのは、お世話になっているダンサーさんからの後押しが大きかったです。「絶対に行ったほうがいい！」とアドバイスをいただいていました。家でもアメリカ人ダンサーのSNSを見ては、「かっこいい」と言っていたのですが、そんな姿を見て、お母さんから「旅行も兼ねて、習いに行ってみよっか」と提案があって。背中を押してもらいました。
アメリカは、文化が違って自分に自信を持っている人が多いですし、フレンドリーな人が多いのでレッスン中の空気感もまったく違います。誰かが踊っていたら全力で応援して、盛り上げていくことも勉強になりました。韓国にもダンスを学びに行ったことがあるのですが、自分が知らない環境に行くというのは、すごく刺激になります。それに。新しい環境では、どう表現しても自由で、人からどう思われようもいいという気持ちで自分を素直に出せるようになりました。
── 今後の目標について教えてください。
新山さん：大きな夢としては、たくさんの人の心を動かせるよう、エンターテイメントの世界で仕事がしたいと思っています。そのために今は、大好きなダンスで、積極的にイベントに参加したり、ステージに立つ機会を増やしたりして、まずは自分について知ってもらおうと頑張っている最中です。パフォーマーとして、いずれは世界に発信できるような人になりたいです。
今は自分がしたいことを自分で発信できて、リアクションももらえるので楽しみながら取り組めています。お母さんを見習って、常にハッピーマインドで夢に向かって突き進みたいと思っています。
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母・新山千春さんの再婚で新たな生活をスタートさせたもあさんですが、8歳で両親が離婚した当初は古くて狭い家に引っ越すなど、環境の変化に戸惑ったことも。ただ、母娘の間に溝が生まれなかったのは、互いに何度も話し合う「暗黙のルール」があったからだったそうです。
PROFILE 新山もあさん
にいやま・もあ。2006年東京都生まれ。俳優・タレントの新山千春の娘。テレビ出演やモデルとして活躍、高校卒業後の現在はダンスで活躍する夢を追いかけ邁進中。
取材・文／内橋明日香 写真提供／新山もあ
