自分が親にやりたいことを全部やらせてもらったから

── 化け子さんが父親の役割も担うプレッシャーのようなものはありましたか。

 

化け子さん:私はもともと男っぽい性格だし、仕事もしていたので、そこはあまり考えていませんでした。ただ、息子が父親役を意識していたところがあったかもしれません。妹にとても優しくて、よくめんどうを見てくれました。高校時代は、野球部でレギュラーを取れないながらもキャプテンをまかされて。みんなをまとめる力や、モチベーションを上げる力を評価されていたんだと思います。

 

── ご長男は小さいころからプロ野球選手になるのが夢だったそうですね。19歳で独立リーグのテストを受け合格するも、半年後に退団されたと伺いました。そういったお子さんの挑戦を、母としてどう見守っていましたか。

 

化け子さん:息子が独立リーグに入りたいと言ったときは、絶対止めないつもりでした。私自身、親にやりたいことを全部やらせてもらって、本当にありがたかったので。うちの母は病弱で入院生活が長かったので、父としては私に地元の岡山で就職してもらいたいと思っていたはずなんです。でも私が東京の美容学校に行きたいって言ったら、黙って行かせてくれました。高校時代の先生も含めて、私の自由な考えを潰さない大人が周りにいてくれた。だから私も子どもたちがやりたいことを否定しないし、多少思うところがあったとしても、この子の人生だから、やりたいことをやればいいって思っているんです。

 

幼少期の化け子
父親に抱かれる化け子さんと双子の姉(左)、病弱だった母親(右)

── 親として現実的なルートを勧めるケースもありますが、全力でやりたいことをやっていいよと言えるのは、強固な信頼関係があるからだと思います。

 

化け子さん:息子にも、「やりたいって言ったことを止められたことは一度もない。普通の家庭ならありえない」って言われましたね(笑)。どっちがいいか悪いかということじゃないし、それぞれの家庭で子育ては違って当然だと思うんです。私のところに生まれてきた子どもだからっていう、ただそれだけなんですけどね。最近、息子と娘から「お母さんが私のお母さんでよかった」って言われたんですよ。58年生きてきて本当によかった!と思いました。