太って洋服も買わなくなった自分が嫌だったけれど

── 現在、プラスサイズモデルとしても活動されています。何がきっかけで始めたのでしょうか。

 

植草さん:東京オリンピックの前からいろいろなことがあってメンタルのバランスを崩していたんですが、オリンピックで7位に終わって完全に心が壊れてしまって。このままではダメだなと思っていたときに海外に行く機会があったんです。それまでは試合があるからと海外のものは基本的に食べなかったんです。でもオリンピックも終わったから、人から勧められたものはなんでも食べるようにしていたら「ご飯っておいしい!」「楽しい」と気づいて。練習量も落ちていたので着々と太っていったんです。

 

当時は恋愛も辞めていたのでひとりでいる時間が長く、好きなものを好きなタイミングで食べられる。体型や髪型、服装も気にしなくていいことに幸せを感じてしまったんですよね。そのうちおしゃれもだんだんしなくなってしまって。太ってしまい持っていた洋服が着られなくなったことがショックで洋服も買わなくなってしまいました。そんな自分が嫌だなと思いながらも、なかなか元には戻れず、もどかしかったです。

 

── そこからプラスサイズモデルにはどのようにつながっていったのでしょうか。

 

植草さん:空手をやめるかやめないか悩んでいたときに、知人から「プライサイズモデルっていう仕事があるけど知ってる?」と『la farfa(ラ・ファーファ)』を見せてもらって。かわいい洋服がたくさん載っていて、モデルさんもキラキラ輝いていて。それを見て「もう1度おしゃれがしたい」「今の自分を好きになりたい」と思ったんです。それでスマホから応募して、書類審査と面接を経て合格。モデルという新たな挑戦をすることになったんです。

 

── プラスサイズモデルに起用されて注目を集めることに抵抗はありませんでしたか。

 

植草さん:体重やスリーサイズが公開されるのは恥ずかしいですし、実際に「太ったね」とか「もっと痩せろよ」「痩せていたときのほうがかわいかったよ」と言ってきた人はいます。「昔はもっときれいだったのに」とか。そういった言葉に「自分がいちばん知ってるよ」とか「その言葉はセクハラですよ」と返すことはあります。もちろん痩せたいとは思いますし、若いころの自分に戻れたらと思いますけど、そんな簡単なことじゃないですからね。今は太っていようが痩せていようが、自分は自分だし以前と変わらない。それは自信をもって言いたいと思っています。