デーブ・スペクターさんの妻・京子さんは、乳がん治療のため両胸の全摘出手術を受けたことを、身内にも明かさずに過ごしていたそうです。しかし今年3月、テレビ番組『徹子の部屋』で「乳がんを患っていた」と発表することを決断。その真意とは…?(全3回中の3回)

「自分の体験を伝えることで…」乳がん公表を決意

デーブスペクター、京子スペクター
『徹子の部屋』の収録日。控え室前にて

── 3月5日放送の『徹子の部屋』に出演され、乳がんについて告白されました。どのような気持ちで発表することを決めたのでしょうか。

 

京子さん:当初、乳がんを患ったことは、夫以外には2、3人の親しい友人に打ち明けただけで、きょうだいや家族にすら伝えていませんでした。「乳がんになって、両胸を全摘出した」と話したら、きっと驚かせてしまうし、心配をかけてしまうと考えたからです。

 

でも、時間が経つごとに「隠し続けるよりも発表してしまったほうがいいのではないか」と考えるように。辛い、苦しい、と思われる患者さんがいるなか、私のようにがんに向き合う人がいてもいいのではと思うようになったんです。

 

──『徹子の部屋』への出演を選んだ理由は…?

 

京子さん:乳がんについて話すなら「質疑応答も含めて、落ち着いて話せる状況がほしい」と考えていました。『徹子の部屋』は、以前にもお世話になったことのある番組ですし、司会の徹子さんからの質問に受け答えする形でなら、伝えたいことを話せるのではと感じ、出演を依頼させていただきました。

 

── 収録前に、デーブさんと話す内容について決めていたのですか?

 

京子さん:番組の前半が私と夫との出会いについて話し、後半に乳がんを患ったことを話す予定でいましたが、それ以外の詳しい内容は決めませんでした。『徹子の部屋』は生放送スタイルで、話したことがほぼそのまま収録されます。「私が体験したことや、感じたことをそのまま話そう」という思いでした。

 

── 徹子さんとのやりとりはいかがでしたか?

 

京子さん:お伝えしたいことを、きちんと話せたかなと思っています。徹子さんが投げかける質問に答える形で、落ち着いて話すことができました。

 

京子スペクター
乳がんの手術をし、退院後まもないころ

── 2014年にもデーブさんと一緒に『徹子の部屋』へ出演されていました。11年ぶりに再出演したお気持ちは?

 

京子さん:今回と前回の出演とでは、心境が大きく違ったように感じています。2014年に出演させていただいたときは、『徹子の部屋』への出演が「夫婦の目標」だったので、達成感を得ることができました。当時の『徹子の部屋』は、大御所のタレントさんなど、全国的に知名度の高い方々が出演されており、番組への出演は「芸能界で認められた証」だと考えてきました。そのため、1983年以降、夫が日本を拠点に活動するようになってから、風当たりが強いときや、心が折れそうになるたびに、「『徹子の部屋』に出られるようになるまでは、くじけずに頑張ろう」と夫の背中を支え続けたんです。その目標が叶い、番組側から出演の依頼をいただいたときは、本当に嬉しかったです。

 

今回の出演は「私たちのメッセージを届けたい」という思いが強くあったので、同じ番組への出演ではありましたが、スタジオの席に座ったときの感情は異なるものがありました。