学校生活で欠かせない上履き。実は間違った洗い方が型崩れの原因になっているそう。この週末から実践したい、正しい上履きの洗い方をムーンスター・マーケティング戦略部 横田さんに伺いました。

上履きは足袋や草履に変わって登場した

── 子どもたちが園や学校に着いたあと上履きに履き替える習慣は、今では当たり前の光景となっています。もともと上履きは日本でいつごろ導入されたのでしょうか?

 

横田さん:上履きが誕生するきっかけとなったのは1872年の学制発布と言われています。

 

1957年の『つきほし通信』
ムーンスターが1957年に販売店向けに発行していた『つきほし通信』に初めて「上履き」という言葉が登場

学校の建物の洋風化が進んでいた時代でしたが、玄関で靴を脱ぐという日本独自の習慣は残りました。その後、戦前まで教室に入るときには靴を脱いで足袋や草履に履き替えていましたが、上履きが次第に使用されるようになり、全国的に浸透していったと言われています。

 

── 最初に製造した上履きは、どういったものでしたか。

 

横田さん:弊社では、1927年から児童用の前ゴム靴の生産を開始しました。「上履き」という言葉が確認できるいちばん古いものは、1957年発行の販売店向け資料にありました。新製品の前ゴム靴Aシューズの説明に「主に女子学生向けの上履きに好適、大変軽快で素直なデザインも人気を呼んでいます」とあります。こちらの前ゴムタイプが発売された翌年に、バレエシューズが原型となっているバンドタイプが誕生し、こちらの2商品が現在の上履きの原型になったと言われています。

 

── なぜバレーシューズと呼ぶのか教えてください。

 

横田さん:1956年ごろ、外履きとして流行っていたバレーシューズを原型として上履きが作られたので、このような名前がついたそうです。当初はバレエのトゥシューズにヒントを経て女子向けに紐をクロスして結ぶタイプの外履きとして人気だったのですが、1958年ごろからその原型を残しながらお子さんが履きやすいようバンドつきの上履きに変わり、現在もその型が引き継がれています。

 

前ゴムタイプとバレエタイプの上履き
前ゴムタイプとバレエタイプの上履き「本当にトゥシューズみたい!」

── 上履きの型は現在も引き継がれているとのことですが、品質面などで改良されていったところはありますか?

 

横田さん:基本的な作り方や素材は当時から変わっておりませんが、原材料の配合を見直すことで耐久性がアップしました。また、生活の変化やニーズに応えるため、新しい機能が備わった上履きの開発も続けております。たとえば、フライパンなどで有名なテフロンTM加工を施して汚れをつきにくくしたものや、学校側の要望を受け、かかとを踏むのを防止するためにゴムで突起をつけた上履きもあります。

 

お子様の足の成長をサポートする機能を備えたタイプの上履きも登場していますし、トレンドのパステルカラーの上履きも人気です。また、足の長さだけでなく、お子さまの足幅に合わせたサイズを展開していますので、まずはお子さまの足の特徴を知ることをおすすめします。

 

── 上履きと言っても、見た目は外履きのようなスニーカータイプのものが登場したのはなぜですか。

          

横田さん:いわゆる従来型の上履きは、学校や自治体によって指定がある場合や、リーズナブルでお求めやすいというニーズがあるため製造を続けています。いっぽうスニーカータイプのものは、子どもの足の特徴を捉えた機能が増えています。お子さんの骨はまだ柔らかいので、それを支えて、足の指をしっかり使って歩けるよう、つま先がゆったりしていたり、正しい位置で曲がったりするように設計されています。また、お子さんは1日コップ一杯ぶんの汗を書くと言われているので、インソールを取り外して洗えるようになっています。

 

── 上履きは通年通して使用するものですが、買い替えの目安について教えてください。

 

横田さん:上履きに限った話ではありませんが、お子さんの足の成長は年齢が低いほど成長スピードが早く、個人差はありますが0~1歳頃は1年間で約2cm、2~3歳で約1.4cm、4~6歳で約1cmと言われています。(※個人差があり目安となりますので、その限りではありません)

 

歩きはじめから3歳ごろまでは3~4か月に1度、4歳~6歳では3~6か月に1度サイズを確認することを推奨しています。7歳~12歳でも1年間で約0.8cm成長するといわれていますが、この時期は運動量が増えて靴の消耗が早いため、買い替えの時期は靴の消耗に合わせたタイミングで大丈夫かと思います。