「笑われる側から笑わせる側になれたらな」

── ちなみに、中学生や高校生くらいになると、学校で好きな人ができることもあると思うのですが、恋愛面はいかがでしたか?

 

ほしのさん:見た目の面でのマイナスが大きいと感じていたので「一生誰かとつき合うのは難しいんじゃないか」という思いはありましたね。

 

それでも、中学は気心が知れた顔ぶれだったこともあり、自分なりに積極的にクラスの中心になれるように頑張ってみることにしたんです。その結果、なんと彼女ができて…! 「頑張ったら内面でも勝負できる」という成功体験があってよかったなと思います。 

 

でも、高校でのいい思い出はほとんどないですね。初めていろんな地区から生徒が集まるということを体験して、知らない人たちに笑われることへの恐怖心から、根暗な性格になってしまって…。広い世界を知って、昔からの明るい部分がすべてリセットされたみたいな感じで。今までの「貯金」がなくなったので、友だちは2人ぐらいしかできませんでしたね。ずっと誰にも気づかれないように、とにかく静かに気配を消して過ごした3年間でした。

 

── ただただ目立つことを避けていたんですね。では、そんななかで芸人という人前に出るお仕事を選んだのはどうしてでしょうか?

 

ほしのさん:「人生何もいいことない」と思っていた小学生のころに、テレビで『笑う犬の冒険』という番組を見て、初めてお笑いに出会いました。それまで、僕は人から「笑われる」側でしたが、「笑う犬」のおかげで人を「笑わせる」っていう逆の立場があることを知って、「笑わせる側になれたらな」という思いが少しずつ芽生えたんです。

 

それに、僕がもし有名になれたら「口唇口蓋裂という病気が世間に知ってもらえるかな」とも思っていました。世の中に広めることで、同じ病気の人が「普通の人間」として暮らしやすくなるようなきっかけになれたら、少しはプラスになるかなと。だから、絶対に芸人になれるまで頑張ろうと決意しました。

 

 

「笑われる側になりたい」と努力し、芸人としてデビューを果たしたほしのさんですが、売れっ子の同期たちに引け目を感じてばかりだったそう。そして、事務所を変わって心機一転、コンビを組んだのが、現在の相方のあいなぷぅさんでした。

 

PROFILE ほしのディスコさん

ほしの・でぃすこ。1989年10月23日生まれ。群馬県利根郡白沢村(現・沼田市)出身。2014年にお笑いコンビ「パーパー」を結成。2017年にキングオブコントで、2020年には『R-1ぐらんぷり』で決勝に進出。2022年には歌手としてメジャーデビューを果たす。

 

取材・文/髙木章圭 写真提供/ほしのディスコ