すっかりママとしてのイメージが定着した芸人の横澤夏子さん。子育ては「何事もあまりやりすぎないほうがいい」という境地に行き着くまで、紆余曲折の道のりがあったそうです。(全4回中の1回)
初めは「出産がゴール」のように感じていた
── プライベートでは5歳、3歳、1歳の3人の女の子のお母さんでいらっしゃいますが、子育てで想定と違っていたことはありましたか。
横澤さん:妊娠中はとにかく出産が未知の世界すぎて、いかに痛みを抑えて産めるかとか、切れてしまったらどうしよう、いきんでトイレに行きたくなったらどうしようというようなことばかり気になって検索していました。

出産がゴールのように感じていて、その後の赤ちゃんとの生活については具体的に考えられていませんでした。いざ無事に産まれたら、検診や予防接種のスケジュールが怒涛のように入ってきます。「みんなはどうやって管理しているんだろう」と思っていましたし、とにかくわからないことだらけで、あたふたしていたと思います。
── お子さんの授乳で悩む方も多いです。
横澤さん:赤ちゃんは飲むのが下手だし、私も飲ませるのが下手で、授乳は下手同士でスタートしたのですが、あげているとムズムズ、ソワソワする感じがありました。鳥肌が立つような不快な感じが授乳中ずっと続くんです。子どもに母乳をあげるのって、もっと幸せ感が溢れるものだと思っていたのですが、「私はなんで違うのかな」と思って悩んでいました。あげる際の不快感もそうですが、まだ歯がない娘から歯茎でキュッと噛まれた傷がかさぶたになり、痛みを伴うこともありました。そこから数年経って、ある番組で不快性射乳反射というものがあると聞き、「もしかしたら私、そうだったのかも!」と。授乳中に分泌されるホルモンが一時的に下がってしまうことが原因で起きる反応だそうで、それを聞いてようやく腑に落ちた感じがしました。
── 違和感を感じながらも、授乳は続けていたんですか。
横澤さん:母乳は、子どもの免疫が上がるとか、産後ダイエットに効くと聞いていたので違和感はありつつもあげていて、仕事復帰を見据えて回数を減らし、ミルクの割合をだんだん増やしていった感じです。母乳をあげていた期間は1人目が半年ほど、2人目が3か月、3人目は1か月くらいでした。今ならそんなに無理してあげなくてもよかったのにと思ってしまいますね。
── 子育ては「あとからこうしておけばよかった」がよく起こりますよね。
横澤さん:免疫の話を聞いてしまうと、もし風邪をひいたら「私が母乳を長くあげなかったせいで」というように自分を責めてしまうことがあるかもしれない。検索すれば検索するほど、マイナスの意見ばかりが目に入ってきます。今なら冷静に両方の意見を聞けるのですが、渦中にいるとそうは思えないんですよね。
── 子育ては正解がないことが多いです。
横澤さん:それこそ産む前には想像もしていなかったのですが、母乳はあげ始めるのも大変ですし、やめるときも大変です。卒乳前には胸がパンパンに張ってしまって、自分の胸なのか石なのかわからないくらいでした。張っている胸を冷やすために保冷剤を詰めて…とんでもない姿で生活をした時期もありました。