「厳格にルールを守りすぎた」育児の反省

── 産後は、いつ外出を始めるか悩む方もいらっしゃいます。

 

横澤さん:産後は、出産で疲れた体を休めるために1か月程度は外出を控えた方がいいと言われることがあると思うのですが、長女のときは厳格にそのルールを守っていて、ピッタリ1か月経って外出しました。コンビニにひとりで行ったときのことは忘れません。「空ってこんなに広かったんだ!」と新鮮な気持ちですべてを見ることができて、外に出られたことにワクワクしたのを覚えています。

 

横澤夏子さんと長女
長女が赤ちゃんのころ。くしゃみを顔面に浴びないようブロックする横澤夏子さん

ところが2人目、3人目になると1か月ルールはもはや存在しません。上の子の保育園のお迎えに行かなくてなりませんし、3人目のときには上の2人を連れて公園で遊ばせていました。でも、そんな生活をしていたらある日、悪露(産後、子宮から排出される分泌物)の量が増えてしまったことがあって。「気持ちは大丈夫でも、まだ体は追いついていないんだ」と思いました。1か月という数字だけに縛られてしまいますが、別に外出をしてはいけないと警察に見張られているわけではないですし、体の回復には個人差があります。長女のときには「なんであんなに厳密にしてしまっていたんだ」とは思うのですが、無理も禁物ですね。

 

── 数字は目安だとわかってはいても、惑わされてしまうことも多いです。

 

横澤さん:新生児期(生後4週)が終わったら、赤ちゃんも徐々に外出を始めた方がいいと聞いて、「何が何でも絶対に外の空気を吸わせてあげなきゃ!」と思っていました。ところが、ちょうどそのころ、コロナ禍で緊急事態宣言が出されていた時期だったんです。「緊急事態宣言が解除されたら絶対に散歩に行くぞ!」と意気込んで、緊急事態宣言が明けて、日が暮れたころにわが子をベビーカーに乗せ、シャッターが閉まった活気がない商店街をお散歩しました。今思えば、外出をそこまで急ぐ必要はまったくありませんよね。それに外出には日光浴の意味もあると思います。育児はすべて育児本の文字通りにやらなきゃならないと思っていて、当時は「一刻も早く外に出ないと!」と焦っていました。

 

子育ては何事も、あまりやりすぎないくらいがちょうどいいのではないかとようやく思えています。それも、トライライアンドエラーで3人育てているなかで見出した境地です。今でもまだまだ勉強だなと感じることが多いですが、自分も成長できるチャンスだと思って日々子どもたちと向き合っています。

 

 

出産後、産休を半年ほどとって仕事に復帰した横澤さん。ところが、「保育園の洗礼」と言われる子どもの病気のラッシュへの対応を迫られます。楽屋に戻って携帯をチェックし、保育園からの着信履歴がないか確認する際は毎回ドキドキするそうです。1人目はあたふたしていたという横澤さんですが、夫との協力、連携プレーもあって、3人目にしてだんだんとペースを掴めてきたようです。

 

PROFILE 横澤夏子さん

よこさわ・なつこ。1990年生まれ。新潟県出身のピン芸人。『R-1ぐらんぷり』では2016年から2年連続で決勝に進出。『女芸人No.1決定戦 THE W』では2018年に準優勝。また、2023年冬に開催された『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』にて優勝。プライベートでは2017年に一般男性と結婚、3人の子どもを持つ。『夫が寝たあとに』(テレビ朝日)では藤本美貴とダブルMCを務める。横澤夏子の三姉妹の母として奮闘する日々を記した子育てエッセイ『ドタバタ子育て大作戦 三姉妹のれんらくちょう』株式会社オレンジページより発売中。

取材・文/内橋明日香 写真提供/横澤夏子