マツキヨのCMで着用した黄色のスーツがトレードマークに
── マツモトキヨシのCMは、ダンディさんの出世作でしたよね。なぜ抜てきされたのでしょうか。
ダンディさん:もともとマツキヨさんのCMは、後輩のさくらんぼブービーというコンビ芸人がやってたんですよ。それで「第2弾どうしようか」ってときに、サンミュージックが定期的にやっているライブに来ていた制作のスタッフさんが、同じライブに出ていた僕を見て「あのダンディ坂野っていう芸人いいんじゃない?」ってなったと聞いています。
最初に呼ばれたとき、僕はオーディションかと思ってたんですけど、もうそこに黄色いスーツが用意されていたんです。僕、それまで黄色いスーツを着たことがなかったんですよ。そこから人生がガラッと変わりましたね。
ダンディ坂野って名前よりも「黄色い服着てゲッツする人だ」ってイメージになって。でも、それはそれですばらしいなと思っているんです。名前なんかどうでもよくて。それで皆さんに知ってもらって、子どもにマネされたり、名前は知らないけど「ゲッツだ」って呼んでもらえるようになりました。
── 今やトレードマークになっている黄色いスーツは、もともとCMのために用意された衣装だったんですね。
ダンディさん:そうですね。僕、人に用意してもらうことばっかりで。オンバトでも合格しないのに番組に呼んでもらえて、ステージをスタッフさんに用意してもらって。「ゲッツ」が生まれたのも、自分ではもともと「ゲット」って言っていたのに、周りが「ゲットじゃなくてゲッツに聞こえる」って言い出したからで、自分で考えたわけじゃない。スーツも自分で選んで黄色を着ていたわけじゃない。その都度、他力本願的なものに流されてきたんです。黄色い衣装も自分のポリシーより「いいじゃん。派手だし」って感じだったんですよね(笑)。
マクドナルドでアルバイトをする姿をお客さんが見物に
── 下積み時代は10年間、マクドナルドでアルバイトされていたそうですね。
ダンディさん:そうですね。2003年2月から、マクドナルドにお暇をいただいていたんですが、僕がお店にいるとお客さんが見に来ちゃうんですよね。

当時はもうオンバトで有名だったときなので。お店の近所に中学や高校があったんで、僕のネームプレートを見て「あいつだ」「ダンディだ」って。お店ではマネージャーという立場だったので。バイトリーダーみたいな感じで、ネクタイをしてバイトさんを仕切っていたんです。「レジはこうしてね」とか「休憩入ってね」とか。真面目に勤務していたので、店内で声をかけられても、リアクション取れないんですよ。それで、芸能の仕事が忙しくなってきたころに「しばらく休みます」とお店に伝えました。ただ、その後も半年か1年ぐらいは籍があったんです。
── なぜ籍を置いたままにしていたんですか?
ダンディさん:いつ仕事がなくなるかわからないから戻れるようにしたい、という思いと「籍があったほうがおもしろいかな」っていうシャレも半分あって(笑)。ただ、僕、店を開け閉めできるように店舗のカギを預かっていたんですよ。でも、僕が持ったままでは保安上問題があるといけないので、鍵をお返しして正式に辞めました。
── マネージャーまでのぼり詰める人は、それほど多くないのでは。すごいですね。
ダンディさん:でも、真面目に仕事していれば、お声がかかりますよ?社員さんが休憩や会議で抜けるときは、2、3時間店舗をひとりで任されることもありましたね。