36歳でブレイクするも気持ちが追いつかず

── 2003年のブレイク当時は、かなり多忙でメンタル的に追い込まれたことがあったとか。

 

ダンディさん:僕みたいにただアルバイトをしていた何もない人間が、36歳で突然、相当な量の仕事を抱えて、ずっと休みもなくて。それがしんどかったですね。「これはできないな」って。

 

今までは舞台で「ゲッツ」だけやっていればよかったのが、いろんなバラエティ番組に呼ばれるようになって。しかも、ほかの芸人も一緒に出演しているならいいのですが、呼ばれているのは僕だけ。ほかの出演者は、タレントさん、コメンテーター、番宣で来ていた俳優さんとか。そういう番組に出てトークしてボケても、空回りするんですよ。ツッコんでもらえないので。今みたいに芸人さんがMCでツッコんでくれるようなバラエティ番組って、あんまりなかったんですよね。

 

ダンディ坂野
「おひさしブリーフ」のポーズを決めるダンディさん

── 今のバラエティ番組と空気が違ったんですね。

 

ダンディさん:そうですね。MCが芸人さんじゃないので状況的に仕方ないんですが、そういうつらさはありました。「ゲッツ」も1回やったらもう終わりなので。そのくせ雑な振り方をされて、また「ゲッツ」を言わされ、結局「ゲッツ、2回目はツラいな」とか言われたり。当時は「いや、そっちが振ったんだろ!」みたいな思いもありました。

 

 

その後、徐々にテレビの露出が減っていくダンディさんですが、図らずも「一発屋」というジャンルのドンとして君臨するように。とはいえ本人は「一発屋」という言葉にはまだ抵抗感があるといいます。

 

PROFILE ダンディ坂野さん

だんでぃ・さかの。お笑い芸人。1967年生まれ。2003年、「ゲッツ!」の一発ギャグで人気を博し、同年の新語・流行語大賞にノミネートされる。

 

取材・文/市岡ひかり 写真提供/サンミュージックプロダクション、ダンディ坂野