子ども食堂も「相手が一番」の精神で

コロッケ
東日本大震災にてものまねショー

── 被災地支援のほかに、全国各地の刑務所や少年院などの慰問活動も続けられていますね。

 

コロッケさん:芸人はお客さんに応援していただいて成り立つ商売ですから、だったら人の役に立てることもしないと、という気持ちが僕のなかにはずっとあるんですね。ものまねという僕の芸が役に立つ場所があるのなら、喜んでそこへ行きます。僕は「矯正支援官(※)」を委託されていますので、刑務所の慰問にはちゃんと制服を着て行くんですよ。正直、ちょっと怖いなと感じるときもあるのですが、でも「皆さんはやっちゃいけないことをやったから、ここにいるんですよね」とはっきり言います。

 

そのうえで、再犯防止と社会復帰のために何ができるのか、どんな心構えが必要かについて、わざとものまねを交えながら話すんですよ。ただ話を聞くよりも、ものまね混じりのほうが記憶に残りやすいじゃないですか。もしかしたら出所後に「コロッケがこんなこと言ってたな」とふっと思い出してもらえるかもしれない。それによって犯罪の芽がひとつでも摘まれるかもしれない。そんなことを考えながら慰問活動を続けています。

 

(※)犯罪や非行をした人の厚生や社会復帰を促進するために、法務省が著名人に任命する制度

 

── 最近は子ども食堂の支援もされています。どんなきっかけだったのでしょう。

 

コロッケさん:僕自身が母子家庭で貧乏でしたから、子ども食堂の存在を知って、「自分が子どもだったときにこういう場所があったらうれしかっただろうな」と思えたからです。シングルマザー、ひとり親家庭の貧困率の高さは、子どもの貧困にも繋がりますから。昨年、都内の子ども食堂を訪れたのですが、子どもは芸人としてのコロッケなんて知らないじゃないですか?じゃあどうやって楽しんでもらおうかと考えて思いついたのが、「あっち向いてホイ変顔大会」です。じゃんけんをしてあっち向いてホイをするのと同じ要領で、「ホイ!」の瞬間によりおもしろい変顔をできたほうが勝ち、勝者にはプレゼントがありますよ、というルールにしたんです。そしたら、これがもう、めちゃくちゃ盛り上がりました。

 

子ども同士でやってもものすごく盛り上がるし、照れ屋なお子さんの代わりに親御さんが出場しても大ウケなんですよ。普段はビシッとしてるお母さんが一瞬でむちゃくちゃな変顔をしたりするから、子どもたちはもう大爆笑が止まりませんでした。

 

── 相手が楽しめることを想像してアレンジする。「相手が一番、自分が二番」と繋がりますね。

 

コロッケさん:うん、やっぱりそうですね。どうすれば盛り上がるかな、伝わるかなということをいつも考えていますから。そういう意味では、「常に芸人でありたい」という思いが心にずっとあります。