野口五郎さん「俺はずっと否定する」の意味は

コロッケ
五木ひろしさんのものまねをするコロッケさん

── 五木ひろしさんや北島三郎さんなど、本人「公認」のものまねも多くあります。北島三郎さんは「コロッケは耳だけでなく目でも観客を楽しませてくれる、ものまねを超えたエンターテイナー」と絶賛されていますね。

 

コロッケさん:そこはもう、ありがたいを通り越して申し訳なさのほうが強いですね。北島三郎さんは「コロッケちゃんはものまねが職業なんだから好きなようにやってもいいよ」と言ってくださって。逆に、今だから言える話なのですが、野口五郎さんからは「俺はずっと(コロッケのものまねを)否定するからね」ときっぱりと最初に言われているんです。もう30年くらい前かな。その理由は「自分が受け入れたらおもしろくなくなる、だから俺はずっと否定する」という姿勢なんです。

 

── 形は違えども、どちらもプロ意識の表れに思えます。これまで数多くの有名人のものまねを芸に変えてきたコロッケさんですが、平成と令和を比べて芸能界の変化を感じるところはありますか。

 

コロッケさん:真似のしやすさで言えば、昔の歌謡曲のほうがしやすかったですね。たとえば、中島みゆきさんの歌ってイントロを少し聴いただけでも「中島みゆき」だとわかる情感、世界観があるじゃないですか。しっかりとした個性があるから、真似もしやすかった。今の時代に人気の歌はそれとはちょっと違ってきていて、アニメやドラマなどの情報がまずあって、そこから歌詞の言葉を聴く人が頭の中で精査しながら考えていく。そんな違いがあるのかなと僕は感じています。

 

だからものまねの手法も変化してきていて、昔のように情感を出す方法ではなく、最初からイケイケのノリノリで突っ走るやり方に変化している気がします。いっぽうで、最近おもしろいなと感じているのが「コロッケさんのものまねを見て、Aさんの歌のファンになりました」と若い人から言われる機会が増えたことです。僕のものまねを見たのをきっかけに、元ネタをYouTubeで探して「この人の歌、かっこいいな!」とさかのぼってファンになる。それはすごくありがたい現象だなと受け止めています。