ものまねレパートリーは300種超、2025年には芸能生活45周年を迎えたコロッケさん。今でこそものまね番組でもよく見られるようになった「ご本人登場」ですが、そのきっかけになったのは、コロッケさんのある出来事によるもので── 。(全4回中の1回)
「どうして俺がロボットなの?」と言われて

── 2025年でデビュー45周年を迎えるコロッケさんですが、ものまね芸人として長く人気を維持できた理由はどんなところにあるのでしょう?
コロッケさん:これは僕の持論ですが、ものまねってそっくりにやるだけなら、本人のほうが絶対にいいんですよ。ものまね芸人が一生懸命に努力して、人気歌手をそっくり真似て歌えるようになっても、お客さんからすれば「へえ、上手いね」くらいで終わってしまう。そのときだけは褒められても、芸としては飽きられやすい。ものまねされるご本人からしても、「ありがとう」以外にツッコみようがないですよね?人気アーティストと呼ばれるような人たちは、ご本人の歌声や雰囲気、そのほかすべてが合わさって歌の情感を生み出しています。だから、そこに似せるだけでは感動は生まれないし、芸としても飽きられやすいんですね。
僕は「ものまね」という芸は、コピー派とパロディ派にわけられると思っています。 カラオケマシンの採点で歌声を競い合うように、本物そっくりに寄せていくのがコピー派。対して、僕のものまねはパロディ派です。五木ひろしさんがロボットになったり、北島三郎さんがヒップホップをしたりと、本人が絶対にやらなさそうなことをするのがパロディ派です。
── たしかに、歌やビジュアルを似せるだけでなく、意表を突いたデフォルメで見る人を笑わせてくれるのがコロッケさんの芸の特長です。
コロッケさん:コピー派とパロディ派、どちらがいい悪いではなく、そういう違いがあるのだと理解していただくと、お客さんも見やすいのかなと思います。コロッケ流のものまねは、否定されることがおもしろい方向性の芸なんですよ。もちろん歌はしっかりと似せて歌いつつも、野口五郎さんのものまねをして歌いながら鼻をほじる芸をすると、そこに野口さん本人が現れて「お前何やってんだよ、似てないよ!」とツッコミが入る。五木ひろしさんも「どうして俺がロボットなの?」と聞いてくる。そうするとステージ上での会話が弾むし、お客さんは笑ってくれる。そんな風にして自分自身のポジションを探っていったところがありますね。