100円で買った10年前の過去問で勉強する極意
── お笑いと消防設備士という2つの仕事をしながら、どうやって勉強の時間を捻出されたのでしょうか?
加藤さん:消防設備の仕事は、移動時間や待ち時間が多いんですよ。お笑いの仕事も収録などで待ち時間があるので、周りの人がスマホを見たり、ゲームをするなか、スキマ時間を使って、ひたすら勉強していました。消防設備士の資格を取るために、半ば強制的に試験勉強を始めたのが2020年。その後、自分の生活に役立てるためにお金のことを学ぼうと、FP2級の資格勉強を始めたあたりから、「知る喜び」に目覚め、おもしろいように勉強がはかどるようになっていきました。
「ランナーズハイ」ならぬ「勉強ハイ」状態でしたね。「せっかく意欲が高まっているこのチャンスタイムを逃してはいけない」と、宅建の勉強もその勢いで始めたんです。じつは、宅建は2度目のチャレンジ。1度目は、FPの勉強を始める前にお試しで受けてみた感じでしたが、やはり自分が心から楽しいと思えるときに取り組む勉強は、これほど集中力や吸収力が違うんだなと実感しました。
── 宅建は、独学だったそうですね。
加藤さん:そうです。参考書とYouTubeで勉強しました。参考書は最新版を本屋で買うとなると3000円程度するので、10年前くらいの過去問や問題集を古本屋で100円で買って。法律の変更点などの最新情報は、YouTubeで宅建の授業をしている人の番組で学びました。だから、宅建の資格勉強にかかった費用は、総額で数百円程度なんです。
参考書を読むときは「ひとまず全部読む」。10時間かけて丁寧に1冊読むよりも、1時間ですべて読み終えて、それを10回繰り返すやり方のほうが頭にインプットされ、理解度が増す感覚がありました。FPと宅建の勉強は、内容が重なる部分もけっこうあったのでやりやすかったですね。
── 気分が乗らないときはどうされていましたか?
加藤さん:そんなときはムリして頑張らず、いったん昼寝をするなど、勉強から少し離れるようにしていました。単に飽きて集中力が落ちているなら、違うツールを使ったり、別の勉強をするなど、変化をつける。たとえば、参考書で勉強をしていたなら、YouTubeの授業で「ながら見」に切り替えたり。そのほうがリフレッシュになるし、新鮮な気持ちで勉強にも向き合えますね。
じつは今年、簿記の試験に挑戦してみようかと思っているんです。「勉強ハイ」になれるかどうか、まだわからないですけれど、またあの充実感が得られると思うと、ワクワクします。
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「お笑い芸人は個人事業主なので」と語るザブングル加藤さん。家族ができたり、家を買ったりとライフステージが変わるなかで、次第にお金に興味を持つようになったことが、今回のFP資格の取得にもつながったそう。本人のお金についての考え方も独特で、いまの最高の贅沢は銭湯帰りの居酒屋でちょい飲みなんだとか!
PROFILE ザブングル加藤さん
ざぶんぐるかとう。1974年、三重県出身。1999年に松尾陽介とお笑いコンビ・ザブングルを結成。2007年に『M-1グランプリ』で初の決勝進出を果たし、6位入賞。21年3月に、相方の芸能界引退に伴い、コンビを解散。以降、ピン芸人として活動。多くのバラエティ番組に出演するほか、俳優としても活躍。20年に消防設備士試験に合格し、消防設備の方面でも精力的に活動している。
取材・文/西尾英子 写真提供/ザブングル加藤