「とにかく麻酔を」痛みに耐えた入院生活
── 術後はいかがでしたか。
二宮さん:もう2度と味わいたくないと思うほどの痛みでした。とにかく早く麻酔を打って眠らせてほしいという希望以外は何もありませんでした。手術後2日経って目を覚ましたのですが、いろんな管に繋がれていて体を動かせない状態で、まさかこんなかたちで目が覚めるとは思っていませんでした。麻酔は量や間隔が決まっているので頻繁には打てないのですが、「さっき打ってからまだ3分しか経っていないのに痛い」というくらい、本当に1日が長く感じました。

── 術後すぐからリハビリを始めるそうですね。
二宮さん:私の意識が戻る前から足を回してもらうなどのリハビリが始まっていて、意識が戻ってから手の動かし方などのリハビリをしていきました。手術後はまったく動かなかったのですが、1週間ほどしてから自分でも手や足が動かせられるようになりました。
── 入院中、家のことやお子さんの世話はどなたがされていたんですか。
二宮さん:すべて夫が担ってくれました。夫がちょうど仕事を自宅でできるよう切り替えた時期だったこともあって、家事全般をはじめ、お弁当作りや学校のこと、私の身の回りのことまですべてやってくれていました。私たちの実家も近いので、もう少し誰かに頼って欲しかったとも思うのですが、夫はひとりで担ってくれていたようです。
── 手術のあと、3週間で退院されたと伺いました。
二宮さん:退院してからも傷跡の痛みや、今もそうですが口を動かしたりすると頭に引っ掛かるような違和感を感じていましたし、入院中の体勢のせいか歩くのもつらいくらい腰痛がひどかったです。体がとにかく重たくて動きにくいので精神的にも落ち込んでいて、とにかくすべてのことに気力がありませんでした。
── 無期限で活動を休止すると発表したのが2023年の12月でしたが、その当時、復帰の予定などはない状態だったのですか。
二宮さん:復帰に関してもまったく予定が立たないままでした。当時は「こんな状態では何もできない」という気持ちが大きくて。お仕事もそうですが、いろんなことを諦めてしまっていました。
── 仕事は休んでいましたが、家族と過ごせる日常が戻ってきていかがでしたか。
二宮さん:特に言葉にしなくても、やっぱり家族一緒がいいねというのはみんなから伝わってきました。面会中も病院では子どもと会えなかったので、子どもの顔をひさびさに見られたのはうれしかったです。入院中は面会の時間が1日の楽しみで、唯一ホッとできる瞬間でした。夫と、両親と私の妹が来てくれていたのですが、本当は痛いから麻酔を打ってもらいたいけど、面会時間に寝てしまっていたらどうしようと葛藤して。家族の支えは本当に大きく、家に帰ってからも家族と過ごせる時間を「幸せだな」と感じるようになりましたし、今も毎日そう思って生きています。
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病気の発覚後、無期限での活動休止を発表した二宮さん。およそ1年を経て復帰を果たすまでの生活を「ただ1日が過ぎて行くだけだった」と振り返ります。活動再開のきっかけとなったのは、ファンの方からのメッセージだったそうです。
PROFILE 二宮こずえ
にのみや・こずえ。1981年東京都生まれ。モデル、インフルエンサーとして活動。Sサイズモデルとしてファッション系動画や二宮家の日常などをYouTubeチャンネルで発信。プライベートでは2児の母。2023年12月にくも膜下出血ともやもや病の治療のため無期限で活動休止を公表、1年後に活動を再開した。
取材・文/内橋明日香 写真提供/株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ anyshe