スポーツ界にも産後サポートのシステムがあれば
── 近年、女性アスリートの中にも育児と競技を両立する方が増えてきていますが、葛藤を抱えている方はまだまだ多く、一般社会でもワークライフバランスの難しさを感じる女性は多いと思います。
小野塚さん:たとえば、スポーツ界でいえばオリンピック競技の女性アスリートに対してのサポートはまだまだ十分だとは言えません。結婚や出産をすると、育児や家事などで物理的に練習に割ける時間が減ります。そういうときにベビーシッターのサポートシステムなどがあるといいなとは思います。「それなら子どもを作らなければいいでしょ」という声はあると思いますが、それはまた別の話。今は一般企業でも託児施設のあるところが増えてきましたし、スポーツ界でもそういうシステムがあってもいいのではないかなと思いますね。
── 小野塚さんご自身は今後どんなキャリアビジョンを持っていますか。
小野塚さん:行けるところまで挑戦していきたいですね。年齢は重ねていくのでどうしても衰えは出てきますが、出来る限り最前線で滑れるように。私自身はまだまだうまくなれる、技術の追求には終わりはないと思っています。これからアスリート・小野塚彩那としてどんな表現ができるか。できる限り全力で取り組んでいきたいし、「やっぱり小野塚彩那じゃないとダメだよね」と言われるような努力を積み重ねていきたいと思います。
PROFILE 小野塚彩那さん
おのづか・あやな。1988年3月23日新潟県生まれ。2歳からスキーを始める。2014年ソチ五輪のスキー・フリースタイル ハーフパイプで銅メダルを獲得。W杯では2度年間総合優勝を果たした。2018年平昌五輪では同種目5位。現在はフリーライドスキーに転向し、日本人女子として初めてフリーライドワールドツアーにも出場した。
取材・文/石井裕美 写真提供/小野塚彩那