弾き語り天気予報に「斬新」とSNSも反響

── じつはかなりの無茶ぶりだった、弾き語り天気予報。練習の結果、どのような仕上がりになりましたか?

 

片岡さん:『有働Times』は2024年10月からの新番組でしたが、開始2週間前になっても、弾き語りしながらの天気予報はできませんでした。ダメだとあきらめ、「やはり厳しいです」と、番組に申し出ようかとも考えました。ちょうど同じころ、ウェブサイトで新番組の発表を受け、ネットニュースに「羽鳥慎一モーニングショーで天気予報をしている片岡信和が、夜はピアノ弾き語り天気予報をする」と情報が出ました。ネットニュースで知った人たちは「お前、大変だな~」という反応がほとんどでした。みんな、新しい試みや見たことのないものにはとまどいますよね。

 

そうした周囲の反応を受け「絶対成功させよう」と、改めて誓いました。その直後に突然、弾き語りができるようになったんです。追いつめられて、脳や指が限界突破したのかもしれません。最後に追い込みをかけられたのは、まわりのおかげです。「ピアノも役者もやってきたから、弾き語り天気予報もできちゃった」と、建前では格好よくふるまっていますが…(笑)。

 

── 微妙な応援ムードのなか、本番で見事成功。現場の反応は?

 

片岡さん:皆さん、見たことのない光景にあ然としながら、すごくほめてくれました!弾き語りといっても、最後に少し弾くくらいだと思われていたのが、天気図の説明も含め、ほぼ最初から最後まで話しながら弾き続けて、最後に歌ったんです(笑)。実は共演者さんたちも本番で初めて見たため、「こんなにできると思わなかった!」と、本当に驚いていました。

 

片岡信和
テレビ朝日屋上でストレッチ

── 番組を見ていると、楽々と弾き語りしているように見えます。

 

片岡さん:実際はすごく努力しましたが、皆さんにお見せするときは何事もなかったかのように、ふるまっています。最近は裏側やプロセスも公開して視聴者を楽しませるケースも増えていますが、僕が子どものころは客席とステージには圧倒的な境目があり、輝いている人たちが夢を与え、現実を忘れさせてくれました。どちらが良い悪いではなくて、僕がテレビに出るときは、「すごい!」と視聴者の心を動かせる存在でいたいと考えています。

 

── 1か月ちょっとで作り上げた弾き語り天気予報。短期間で、前例のないスタイルをよく完成させましたね。

 

片岡さん:人間は締め切りがあると強くなりますよね。役者として舞台に臨むときも、みんながどんどん集中してひとつになっていくのを見て、「締め切りの魔法」を感じていました。時間的な制限があるなかで逃げずに頑張ると、その後に「自分はじつはこんなことをしたかった」など、新たな世界を開く気づきを得られます。実際のところ、体力より気力勝負になりますが、これからも締め切りをうまく使って、もっと成長していきたいです。

 

── ネットで話題になり、SNS上では「斬新、衝撃」「おもしろすぎる」「癒やされる」「しゃべって弾けて歌えて天気予報できてイケメンって、盛りすぎですごい」と盛り上がっています。ピアノ歴は長いのですか?

 

片岡さん:公式には「ピアノは子どものころから」と言っていますが、実際は野球と水泳が楽しくて、あまり熱心な生徒ではありませんでした。小学生のころは発表会に少し出るくらい。この世界に入った20代から本腰を入れて曲作りをして、30歳で自作曲のアルバムを出しました。弾き語り天気予報で弾く曲はすべて自作です。長さを変えたり、雰囲気にあわせてコードを変えて盛り上げもします。ふだんは指の筋肉を鍛えるために、原点回帰でひたすら「ハノン」を弾いていますが、人前で披露するには、簡単な曲を確実にいい音で弾く方針に変えました。