いつも事後報告だった私ですが…

── たとえば、どんなところでそう感じますか?

 

スザンヌさん:子どものころから「すべて自分で選び、自分で決めなさい」という感じの母親だったので、私も何かを決めるときに相談したことがなく、ほぼ事後報告でした。習い事に関してもそうだし、芸能活動で上京するときも「東京行きます」と宣言。母には「がんこもの」って言われます。でも、自分で決めて発表することで、その後、迷いが生じても、「もう宣言しちゃったからやるしかないよね」と自分を鼓舞して進むことができます。

 

私には2つ下の妹がいますが、母には「お姉さんだからこうしなくちゃダメよ」と言われたことがないんです。妹に対しても同じでした。小さいころから、子どもというより、ひとりの人間として扱ってもらった気がしますね。よく言えば対等、悪く言えばドライという感じ。だから、私も母親に対して、お母さんとしてというより、ひとりの人間として尊敬しているという気持ちのほうが大きいですね。

 

── そうした教えは、スザンヌさんが子育てをするうえで、どんなふうに影響していますか?

 

スザンヌさん:私はそれがなかなかできなくて…。自分の子どもを所有物とは決して思っていないのですが、とにかくかわいくて、何でもやってあげたいし、把握したくなってしまうんですよね。見守りつつも、手を出さずに放っておいたほうが、きっとこの子のためになるんだろうなと思って、10歳の誕生日に、私自身の子離れ、自立に向けて頑張ろうと決意。「目を離さないけど手は貸さない」と決め、自分でできることは自分でやってもらうように、努力をしているところです。

 

──「見守りつつも放っておく」ってなかなか難しいですよね。ついあれこれ言いたくなってしまう。親の忍耐力も問われます。

 

スザンヌさん:そうなんですよね。ただ、自分の失敗に対して責任を取る年ごろになってきているから、学校の準備に手を貸さないようにしたり、忘れていることがあっても、子どもが自分で気づくまで、グッと我慢して言わないようにしたり。「今は見守る時期なんだ」と、自分に言い聞かせながらやっています。

 

PROFILE スザンヌさん 

すざんぬ。1986年、熊本県出身。高校生の時に芸能活動を開始し、2006年に上京。『クイズ!ヘキサゴンII』への出演をきっかけに、おバカタレントとしてブレイクし、多方面で活躍。2014年に第一子を出産。15年に離婚を経て、熊本県に移住。2023年にファションブランドを起ち上げ、株式会社yamaの代表取締役社長に就任。2024年12月から、「KAWACHI BASE-龍栄荘-」をオープン。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/スザンヌ