アパレル会社の社長のみならず、旅館の経営者としてもキャリアをスタートさせたスザンヌさん。新しい道を切り開き続ける背景には、11歳の息子が巣立つ将来を見据えた、ある思いがありました。(全3回中の3回)

子どもとラップバトルを見にいって

スザンヌ
息子さんの9歳の誕生日に

── 2015年に熊本に移住し、シングルマザーとして現在11歳になる息子さんを育てるスザンヌさん。母であり、アパレル会社の社長であり、タレントという「三足のわらじ」を履く多忙な日々。現在は、「KAWACHI BASE―龍栄荘―」の旅館オーナーとしての顔も加わり、これまで以上に両立が大変な時期だと思います。お子さんと向き合う中で、意識していることはありますか?

 

スザンヌさん:私もそうでしたが、小さいころから母親の働く姿、一生懸命何かに取り組む姿勢を見て、関わる時間は少なくても、その背中から感じる部分がすごくあったんですね。「息子もそうだといいな」と思っていたのですが、先日、旅館のオープンに追われて忙しくしている私を見て、「ママは夜遅くまで仕事を頑張っていて偉い」とメディアの人に話していたそうです。まだまだ子どもだと思っていたけれど、ちゃんとわかっていてくれたんだな…と、胸が熱くなりました。「龍栄荘に行く?」と息子に聞くと、喜んで一緒に行ってくれるのがうれしいですね。小さなころ、妹から「西日本一のマザコン」と言われていたほど甘えん坊だった息子ですが、成長を実感してうれしく思いました(笑)。

 

── 子どもは意外とちゃんと見ていますよね。

 

スザンヌさん:その一方で、息子とこうして一緒にいられるのは、あと数年くらいしかないんだろうなと思うので、その時間を最大限大切にしたいという思いがあります。ただ、子どもはいずれ巣立っていくものだから、自分の人生を充実させて「ママは大丈夫だよ。あなたも頑張って自由に生きておいで」と笑顔で送り出せるようにしたいなと思っているんです。学校に行ったり、起業したり、旅館のお仕事を始めたのも、子どもが独り立ちしたときに私自身が寂しくならないようにするためでもあります。

 

──「子どもが巣立った後に抜け殻のようになってしまった」という声はよく聞きますよね。

 

スザンヌさん:私もこのままだと子離れできずに、そうなりそうだなと思ったんですよ。なので、今のうちから自分の夢を見つけて子育て後の人生も楽しく過ごせるように頑張って基盤を作っているところです。

 

── 最近は、お子さんと一緒にどんな時間を過ごすことが多いのですか?

 

スザンヌさん:息子が今、ラップにすごくハマっているんです。学校で流行っているらしくて、家にいる間、ずっとラップを言っていてうるさいくらい(笑)。ラップバトルの番組を一緒に見たりしています。ただ、まだ子どもですし、過激な言葉には触れさせたくなくて。悪い言葉を使っているときには「それ、意味わかって言ってるの?」と口うるさく注意します。でも、だからといって「ラップ禁止」にすると、かえって関心が高まるだけだと思うし、子どもの楽しみを奪いたくはない。それなら、私も子どもがハマっている世界に触れてみよう、一緒に楽しんでみようと思って、昨年末、福岡のZeppにラップバトルを一緒に見に行きました。