大分市でひとり親家庭と困窮家庭に物資の支援を行うNPO法人「子育て応援レストラン」で理事長を務める若林優子さん。子ども支援をスタートしたものの、当初は周囲の理解を得られなかったそう。年間4000世帯の支援へと広がるまでになった背景についてお聞きします。(全2回中の2回)

当初はカレーライスを小皿に5食が精一杯だった

こども食堂
こども食堂を始めてまもないころ。こども食堂のクリスマス会の様子

── 子育て支援の活動を始めたのはいつごろですか?

 

若林さん:2017年なので8年前です。自分のレストランを経営し始めて4年が経ち、子ども3人を抱えたシングルマザーになってから2年後でした。最初は、自分と同じようなひとり親家庭の食事の手助けになればと「こども食堂」から始めたんです。

 

当時は「こども食堂」の存在が今ほど知られていなくて、特に地元・大分ではまだそれほど普及していなかったと思います。ある日、テレビで地域のおばちゃんたちが子どもたちに食事を出しているというニュースをやっていて、そのとき初めて「こども食堂」の存在を知りました。「あ、私こういう活動をしたい!」と思っていろいろと調べて、そのためにNPO法人を立ち上げることを決めました。初めて自分で心から「これやりたい」と思ったことに出会った気がして、「こども食堂」の存在を知ってからは一直線でした。

 

── どんな食事を出すことからスタートしたのでしょうか。

 

若林さん:最初は月に2回、小皿にカレーライスを5食出すのが精一杯でした。お店の経営的に無理しても続かないと思ったので、SNSで告知して、できる範囲でスタートしました。始めてから数年、共感者は誰ひとり得られず、周囲の経営者の方に出資をお願いしても「実績がないからリスクが高い」「子どもに無料で食事を出して何になるの?」「自分にお金がないのに何でこんなことやってるの?」と何度も言われました。それに対する私の答えは「母性本能です」と(笑)。ただ、数字で表せない、気持ちだけでやりたいんです、というのは経営者の方たちには通じないですよね。

 

でも、続けていればいつか誰かに響くかも、と、できる範囲で2~3年続けたころ、ぽつりぽつりと協力者が出てきたんです。地域のサッカー選手や企業が景品を提供してくれたり、近所の農家さんが「余った野菜を使って」と言って持ってきてくれたりしました。そうすると、カレーに景品や副菜がつけられるようになり、提供できる内容も少しずつよくなっていきました。