結婚をOKしたらコートのポケットから「ドンペリ」が
── プロポーズから2時間、大事なお話をされていたのですね。
高野さん:今思えば、当時はまだ人生経験がたりていなくて、「結婚とは安定するためにするもの」だと思っていたんです。「安定なんてしちゃったら、私たちつまんなくなっちゃう。合わなくなっちゃうよ」って思い込んでいました。でも、実際に結婚してみたら、安定の「あ」の字もないという(笑)。「結婚って、なんてスリリングなんだろう」っていうのが今の正直な感想です(笑)。10年前の自分に教えてあげたいですね。
── たしかに結婚しても安定は手に入らないですね…(笑)。結局「YES」と返事をされたわけですが、決め手はあったのですか?
高野さん:最後は私が折れたというか、「結婚します」と応じました。あのときは2時間も夜中の寒空にいるなんて思わなかったから、薄手のコートを引っ掛けていただけで、とにかく寒くて。一方の北村はベンチコートみたいな暖かそうなのを着ていましたけど(笑)。しかも、私が返事をしたあと、何をするかと思えばそのコートの大きなポケットから「ドンペリ」を出してきたんです。「じゃあ、乾杯すっか」みたいな感じで。「えーー!2時間そこにドンペリ入れてたの?」って衝撃を受けました。
2人ともお酒が大好きでとにかくよく飲むので、北村はプロポーズの後に記念の乾杯をしたかったみたい。今でも、子どもたちを寝かしつけた後の晩酌がいちばんの楽しみです。私は料理を作るのが好きなので、「今日はこのお酒を飲みたいから、このツマミを作ろう」ってメニューを考えるのが日課です。
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まったく結婚願望がなかったものの、2時間の説得の末に北村さんとの結婚を受け入れた高野さん。10年が過ぎた今も仲のよさは変わらずのよう。初めて夫婦共演を果たした際には、感慨深い出来事もあったそうです。
PROFILE 高野志穂さん
たかの・しほ。1979年、東京都生まれ。父の海外赴任で、幼少期からバーレーン、シンガポール、英国(マンチェスター、ロンドン)で暮らす。15歳で帰国。1998年に俳優デビュー。2002年放映のNHKドラマ『さくら』ではヒロイン役を演じる。その後、ドラマ、映画、舞台などで様々な役で活躍している。2児の母。