傷もこの子が生きてきた結果
── 有村さんにとってイリスはどんな存在ですか。
有村さん:やっぱりどれだけ大変でも365日、24時間かわいいと思える存在です。ただここに存在して、その時間を生きているというシンプルさもいいなと思います。難しい子ではあるのですが、だからこそ少し何かできたときの喜びが大きくて、特別感があります。もちろん噛まれたら傷になるので嫌ですが、これもこの子が生きてきた結果で、きっとこれまでつらい思いをしてきたんだと思います。それに、傷は治ります。モデルの仕事は、コンシーラーで傷を消して撮影に挑むこともあります。
── ペットを検討している方に伝えたいことはありますか。
有村さん:実家で飼った1匹目の犬は中学生のころにペットショップから迎え入れたのですが、ペットショップの方から「この子は室内犬で、お散歩はいりません」と言われて、その言葉を信じていました。トイプードルを飼われている方は多いと思いますが、今はお散歩をしないなんて考えられないですよね。厳しいことを事前に聞いたら売れなくなってしまうので難しいところはあると思いますが、正しい知識を得ていただきたいなと思いますし、ペットを受け入れる前の段階で、飼い主の講習のようなものがあったらいいですね。飼う側の責任として、最低限ここまでの基準は満たせるという方が飼っていけたらいいなと思います。犬のお留守番やお散歩の時間、自分が病気になった際の預け先も含めて、事前に具体的に想定できたら捨てられる子も減ってくると思います。
在宅時間が多く、病院やトレーニングにも連れて行ける方は、最初から繁殖引退犬や里親募集の方から引き取ることも選択肢に入れていただけると思います。繁殖引退犬は子犬ではないので、ペットショップから子犬を迎え入れるより、どういった子なのかがわかりやすいです。性格がわかっているという意味では相性のいい子を探しやすいですし、ミスマッチも起こりにくいと思いますので、いいパートナーとしてつき添ってあげてほしいです。
PROFILE 有村実樹
ありむら・みき。モデル・美容研究家。10代からCMや数々のファッション誌の表紙を飾るモデルとして活躍。美容研究家としても、自身の知識やテクニックを『美的』や女性誌で発信するほか、NHK文化センターで講師を務めたり、企業や学生向けの美容講座を開催したりしている。Instagramではメイクやスキンケアに加え、アロマコーディネーターや植物療法士の資格を活かし、インナーケアやストレスケアの情報も発信中。
取材・文/内橋明日香 写真提供/有村実樹